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『光とゼラチンのライプチッヒ』(多和田葉子著、講談社)

c0077412_1093465.jpg10編の作品が収められた短編集。
同音異義語やら言い間違いなどを中心に、ことばと思考のねじれが連鎖的に起こる『盗み読み』『胞子』、現実より幻想が大半を占めるような旅を綴った『チャンティエン橋の手前で』『ちゅうりっひ』『光とゼラチンのライプチッヒ』、ほとんどひらがなばかりの『ちゅうりっひ』、シナリオ仕立ての『夜ヒカル鶴の仮面』などなど、「実験作」といった趣の作品が並んでいる。『裸足の拝観者』のなかに「うとうとと物を考えている時、ひとつ何かを思いつくと、それにまつわることがいろいろ頭に浮かんできて、ころんと球になり、次にまた、全く別のことが浮かんできて、それが、ころんと球になり、しまいには、そのような球が何十個も頭の外側に貼りついて、仏像の頭のようになってしまう」という文があるが、この作品集は作者がそのようにして作り出した球の集合体とでも言おうか。したがって、ストーリーを求める読者には向かない。
作者の連想についていくのはなかなか難しいけれども、不思議な磁力があって途中でやめるのも難しい、そんな作品集である。(2007.10.29記)

☆『ころびねこ』に次のような行があって、思わず拍手しました。
おまえみたいに、女の好きな男は、自分自身がかなり女なんだ。/女の好きな男って、どういう意味?どっちがどっちを好きなの?/それは日本語文法の盲点ね。
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by nishinayuu | 2008-01-15 10:10 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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