『A Little Princess』(F.H.Burnett 著)

c0077412_10431481.jpg『小公女』というタイトルで知られた、数十年前の本好き少年少女たちの必読書。
インドがイギリスの植民地だった時代の話で、主人公セーラはインドで事業をやっている父の元を離れて、イギリスの寄宿学校にやって来る。学校の経営者ミンチン女史は、親が金持ちのセーラを特別にひいきにするが、セーラを気に入っているわけではない。だから、セーラの父親が事業に失敗して無一文のまま死んだ、ということがわかるやいなや、セーラを屋根裏部屋に追いやり、下働きをさせる。けれども人間のよくできている(できすぎている!)セーラは、新しい境遇によく耐え、自分より弱いものへの思いやりを失うことなく、健気に生きていく。そんなセーラに思いがけない幸運が舞い込んで、セーラは前よりもっとすごい大金持ちになり、ミンチン女史は後悔のほぞをかむ――という、少女の夢物語であり、勧善懲悪物語でもある。
この物語を講談社の『世界少年少女文学全集』で読んだ小学生の頃は、何でもよくでき何でもよくわかっている、あまりに大人っぽいセーラが好きになれなかった。また、非教育的な寄宿学校の環境や、寒さの中で飢えに苦しむ場面などが印象に残るため、ついに「愛読書」にはならなかった。今回ひさしぶりに読み返してみて、どん底の暮らしにくじけそうだったセーラに、天から(実は天窓から)救いの手がさしのべられる場面や、孤児セーラ探索の手が次第にセーラに近づいてくる行などには思わずワクワクさせられた。が、それでもやはり、若い父親の元でインド人の召使いに囲まれて育ったセーラが、スポイルされるどころか人格的に非の打ち所のない子どもであることなど、不自然なところが目についてしかたなかった。(2007.10.17記)

☆おもしろい発見もありました。私が小学生の頃、東京にはゴキブリはいなかったと思います。少なくとも私は見たことも聞いたこともありませんでした。それなのに、セーラの屋根裏部屋にはゴキブリが出てくるのです。あんな寒い国に、そんなに昔からゴキブリがいたとは。
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by nishinayuu | 2008-01-05 10:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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