『クライム・マシン』(ジャック・リッチー著、好野理恵 他訳、晶文社)

c0077412_10474043.jpg17編の短編からなるミステリー集。ミステリーといっても、身の毛のよだつ場面、血なまぐさい場面はない。奇想天外なストーリー展開に、どう結末をつけるのかと思いながら読んでいくと、なんとも鮮やかな落ちがついて思わず納得、という話が多い。
登場人物も話の舞台もそれぞれの話で違っているが、数編に登場する人物が二人だけいる。一人は一見有能そうで、実はとんでもない「迷探偵」であるターンバックル。ミドルネームのイニシャルSについて、相棒が「serendipityセレンディピティ(偶然にものをうまく見つけ出す能力)のS」とおもしろそうに人に告げる場面があることからもわかるように、迷探偵ではあるけれども迷惑な探偵ではなく、なごみ系の人物である。
もう一人は私立探偵のカーデユラ。夜の8時に仕事を始めて、夜明けになると仕事の途中でも家に帰ってしまう、というところでオヤ?と思っていると、空中移動をした?という場面が出てきて、その正体がわかる。そう、故国ルーマニアに住めなくなったドラキュラ伯爵なのである。巻末の解説によるとカーデユラのスペリングはCardulaで、ドラキュラのアナグラムであることがわかる。ドラキュラの宿敵ヴァン・ヘルシングもヴァン・イェルシングの名で登場する。(2007.9.4記)
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by nishinayuu | 2007-11-10 10:47 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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