『最後の宴の客』(ヴィリエ・ド・リラダン著、釜山健・井上輝夫訳、国書刊行会)

「バベルの図書館」とうたったシリーズの第29巻。著者がリラダン、編纂と序文がボルヘス、出版社が国書刊行会、とくれば読む前からマニアックな本であろうと見当がつく。しかも12cm×22cmという変型本である。装丁装画(フランコ・マリーア・リッチ、マルチェッラ・ボネスチ)も怪しげでいい。ただ、ペーパーバックというところがなんとも惜しい。ハードカバーの豪華本にすればいいのに。と勝手なことを考えてしまったが、そんなことをしたら高くなりすぎて買い手がつかないかもしれない。ちなみに、定価は消費税を含めて1835円である。
予想通り、耽美的な、ときにグロテスクで不気味な幻想小説集だった。実際の拷問場面こそないが、拷問やら処刑についての記述が多いので、精神的に弱っているときには読まないほうがいい。ボルヘスが「本巻中もっともすぐれた物語で、数ある短編小説の中でも屈指の傑作のひとつと目される」と書いている『希望』(なんとも残酷なタイトルではある)は、そういう意味で神経にこたえる作品。この作品を乗り越えれば、他の作品は楽勝である。最後の『ヴェラ』では怪しく美しい幻想の世界に浸ることができた。(2007.9.1記)
[PR]
by nishinayuu | 2007-11-03 10:47 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/7326105
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『パッチギ! 対談編』 倭建命(ヤマトタケルノミコト)... >>