『The Picture of Dorian Gray』(Oscar Wilde著)

c0077412_944173.jpgオスカー・ワイルドが描いた耽美的な怪奇と幻想の物語。
美貌の青年ドリアン・グレイは、画家バジル・ホールウォードの描いた自分の肖像画を前にして「この絵が自分の代わりに老いていき、自分はいつまでも若く美しいままでいられるなら」とつぶやく。そんなドリアン・グレイに興味を持ったバジルの友人である快楽主義の権化、ヘンリー・ウォットン卿は、彼を快楽の世界、悪の世界へと導いていく。彼が冷たく捨ててしまった場末の女優シビル・ヴェインが自殺したとき、肖像に醜い翳りが現れる。そして彼の魂はとめどなく汚れていき、肖像はとめどなく老いと醜さを増していくが、生身の彼は純真無垢だったときと同じ若さと美貌を保ち続けるのである。だからその肖像画は決して人の目に触れてはならないもので、彼は長年にわたってそれを隠し続けてきたのであるが、描いた当人であるバジル・ホールウォードが訪ねてきて……。(2007.8.15記)

☆衝撃的な結末が印象的な小説です。が、それ以上に印象的なのがヘンリー・ウォットン卿という、おそらく作者ワイルドとかなり重なる、教養と才知にあふれる人物。バジル・ホールウォードが大切にしていた(というか愛していた)ドリアン・グレイを、バジルから奪い取るようにして自分のほうに引きつけておいて、言葉巧みに彼を美しい悪の世界へと誘導し、彼が破滅に向かっていくのをおもしろがっている悪魔的な人物なのです。
この本はグーテンベルク・プロジェクトからダウンロードして読みました。画像はBantam Classicsのものです。
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by nishinayuu | 2007-10-17 09:45 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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