『美しい夏』(パヴェーゼ著、河島英昭訳、岩波文庫)

c0077412_11142617.jpgファシズム体制下の1940年に執筆され、1949年に刊行された作品。
都会で働く美しい少女ジーニアは16歳。友達のローザと遊び回ることは楽しかったが、自分はローザのように愚かではない、と考える誇り高い少女だった。そんな彼女が憧れと羨望を抱いていたのは、三つ年上でもうすっかり大人のアメーリアだった。アメーリアはすらりとして美しく、しゃれた服装をしていた。モデルをしていて、画家のアトリエでポーズをとるのだという。そんなアメーリアとジーニアは、時には姉妹のように、時には大人の世界に導く先導者と弟子のように、いっしょにコーヒーを飲みアルコールを飲み、つれだってダンスホールに行った。なにもかも美しく、いつもお祭りのようだった夏の夕べ。やがてアメーリアはジーニアを画家のアトリエへ連れて行く。ジーニアの好奇心を満たすために。そしてジーニアを自分と同じ世界に引き込むために。
作者パヴェーゼについて(訳者の解説より)――チェーザレ・パヴェーゼ(1908~1950)はトリーノ大学卒業後、出版活動を行っていた1935年5月に反ファシズムの嫌疑で逮捕され、1936年3月までイタリア南東南端の寒村に流刑された。そのときの体験をもとに最初の長編『流刑』を書いたが、ファシズム体制下のためか発表にはいたらなかった。やがて1948年に『流刑』が、1949年には『美しい夏』が刊行されて脚光を浴び、翌1950年にイタリア最高の文学賞ストレーガー賞を受賞。しかしその2ヶ月後に、トリーノ駅前のホテルで自殺を遂げた。(2007.7.11記)
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by nishinayuu | 2007-09-15 11:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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