『異人館』(レジナルド・ヒル著、松下祥子訳、早川書房)

c0077412_10301977.jpg閉ざされた村の四百年前、四十年前と現在が、複雑に絡まったり驚くべきつながりを見せたりしながらテンポよく進行する歴史ミステリー。
イングランドの北西部、いわゆる「湖水地方」の寒村にあるパブと旅館を兼ねた「異人館」に、ほぼ同時にふたりの若い客が訪れる。ひとりはオーストラリア人の女性で、ものごとを数学的にとらえるサム。もうひとりはイギリス人を母にもつスペイン人の男性で、ものごとを宗教的にとらえるミゲル。サムは、約四十年前に児童移民として大英帝国の果てに送り出された祖母の足跡を求めて、ミゲルは約四百年前のカソリック迫害について調べるために、この村にやってきたのであるが、よそ者を警戒する村人たちの妨害にあって成果は上がらない。これに対して、互いに相手にはなんの関心もないふたりはばらばらに動いていたが、ある事件をきっかけに理解し合い協力し合う関係になっていく。やがて、はじめは無関係に見えたふたりの求めているものが次第に絡み合い、重なっていき、ついにふたりは同じ一人の男と対決することになる。(2007.6.30記)

☆クライマックスは大邸宅の炎上です。そういえば映画「ギルバート・グレイプ」、「サクリファイス」でもクライマックスは燃え上がる家でしたね。映画の場面は感動的、印象的でしたが、この作品では、なにも燃やさなくても、と思いました。燃やしてなにもかもおしまい、というのはちょっと「逃げ」のような気がします。
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by nishinayuu | 2007-09-03 10:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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