『りかさん』(梨木香歩著、新潮文庫)

c0077412_10351411.jpgこの本には『りかさん』と『ミケルの庭』という二つの短編が収められており、『りかさん』はさらに「養子冠の巻」と「アビゲイルの巻」という二つの章に分かれている。
『りかさん』はおさない少女・ようこが、おばあちゃんから誕生日のプレゼントとして市松人形を受け取るところから始まる。ようこがほしかったのは「リカちゃん人形」だったのに。ようこがしかたなく「りかさん」と呼ぶことにしたこの人形は、それでもようこを恨んだりせずに「だいじょうぶよ、麻子さん、私、きっとようこちゃんとうまくいく」と、遠くの麻子さん(おばあちゃんの名前)に声をかける。「恨まない、というのは人形にはとてもめずらしい資質」であって、りかさんは気だてもよく、知恵も力もあるすばらしい人形だったのだ。りかさんはようこの心に働きかけ、ようこはりかさんの声を聞くようになる。こうしてりかさんと、ようこと、麻子さんは、人形たちの話に耳を傾け、人形たちの悩み、苦しみをひとつずつ解決していく。麻子さんとようこのことばのやりとりがなかなかいい。
『ミケルの庭』は、大人になったようこ(蓉子)と友人の紀久、与希子、それから三人が共同生活をしながら一緒に養育している乳児・ミケルの物語。ミケルの見ている世界、感じている世界をミケルが心の中で語っている部分は、何とも不思議な魅力に満ちている。(2007.6.13記)

☆『りかさん』は、『からくりからくさ』の蓉子がりかさんと出合った、幼い日の物語、『ミケルの庭』は、『からくりからくさ』の後日談です。私が『からくりからくさ』で文句をつけた与希子の読みですが、この本ではちゃんと「ヨキコ」とルビが振ってありました。よかった、よかった。
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by nishinayuu | 2007-08-02 10:32 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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