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『内なる宇宙 下』(J・P・ホーガン著、池央耿訳、創元SF文庫)

c0077412_11481631.jpg上巻の登場人物紹介に「どこかの世界」の人々の名前が並んでいる。「どこかの世界」という名称は、ファンタジー小説によくある異世界を思わせるが、決してそういうたぐいのものではないことは、上巻の冒頭にある作者ホーガンによる「日本語版への序」で示唆されている。下巻ではこの場所に「ファンタズマゴリア」という名称が与えられており、このファンタズマゴリアの人々と、ハントの名付けたアヤトラたちの正体が明らかにされていく。
科学的な思考を駆使して問題に取り組むのは、その方面ではずっと遅れているはずの地球人たち。知識においては遙かに人間をしのいでいるガニメアンたちが、むしろ「人道的な」面で存在感を示す役回りになっているのがおもしろい。
また、シリーズ全体を通して知的な女性たちが何人も登場するにもかかわらず、いずれの女性も添え物的に扱われている印象だったが、ここに来て初めて、知的な活動とは無縁の女性である二クシーが、誠実な人柄(?)と深い理解力によってハントたちの探求に貢献するのもおもしろい。ここから作者の女性観を云々するつもりはないけれども。(2007.6.9記)
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by nishinayuu | 2007-07-25 10:32 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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