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『光ってみえるもの、あれは』(川上弘美著、中央公論社)

c0077412_15302588.jpg語り手の「僕」は高校生で、名前は江戸翠。エドミドリ(!)と読む。僕は祖母、母と三人で暮らしているが、幼いころは祖母のことを「おかあさん」と呼んでいた。小学校入学に際して、「お母さん」だと思っていた人が実は祖母の「まさこさん」で、頼りない感じの愛子さんが実は「おかあさん」だと教えられてとまどったのだった。僕には「おとうさん」がいなくて、ときどき訪ねてくる大鳥さんが遺伝子上の父親だ、ということがだんだんわかってきた。僕と同じ高校には、小学校から一緒の花田とガールフレンドの平山水絵がいる。担任教師のキタガーくんというのもいて、教師くさくない、いい感じの教師である。このような変則的な家庭の風変わりな家族たちと、悩み多き青春まっただ中の友人たちに囲まれていれば、まさこさん言うところの「ぼんやりもの」の僕も、いつまでもそのままでいられるはずもない。転機は夏休みにやってくる。
登場人物ひとりひとりが個性的で魅力的。詩歌の一節や小説のタイトルから取った語句が各章のタイトルになっているのもしゃれている。(2007.4.26記)
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by nishinayuu | 2007-05-30 16:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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