『毛糸よさらば』(ジル・チャーチル著、浅羽莢子訳、創元推理文庫)

c0077412_15293661.jpgシカゴに住む三人の子持ちの主婦・ジェーンが活躍するミステリー。
物語の始まりは12月10日の午前8時37分。無人の家に、テレビとステレオの大音量が響きわたり、コーヒー・メーカー、ボイラー、乾燥機がそれぞれ異常音を発し、電話が鳴り続けているなかでネコどもが食べ物をあさっていて、犬も猛然と吠えている。そこへ車出しに乗り入れる車の排気音が加わり、38分にすさまじい様相の主人公ジェーンが登場する、という何ともにぎやかな滑り出し。寝坊したジェーンが、大急ぎで子どもたちに食事をさせ、近所の子どもたちと一緒に学校に送り届けてきたところ、というわけだ。このあともジェーンは大忙し。親友のシェリーが運転する車に乗り、車中でバザーに出す膝掛けを編み続けながら、空港へ昔の友人・フィリスを迎えに行き、家まで連れてきたあと、バザー会場となるフィオーナの家に荷物運びの作業をしに行き、といった具合。クリスマスを控えたこの時期、子どもたちの世話に、学校への送迎当番、バザーの準備だけでも大変なところへ、さほど親しくもないフィリスと、予定外のちん入者であるたちの悪いその息子が泊まりに来て、しかもいつまでいるつもりかわからない、という異常事態なのである。そんな中で事件が起こる。殺人事件が続けて2件も。こうして、主婦業にはあまり身が入らないけれども、探偵シゴトにはつい乗り気になってしまうジェーンの忙しさはいや増すのである。(2007.4.25記)

☆原題はA Farewell to Yarns。『武器よさらば』(A Farewell to Arms)のもじりですね。
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by nishinayuu | 2007-05-28 09:47 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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