目次の「ゆめ」「あこがれ」「女ともだち」「かがやき」「きぼう」「おもいで」という文字を見ただけでも、ふんわりした内容のお話だとわかる。主人公は高校を退学して、祖父の経営する「大和湯」でバイトをしている美和。なぜ高校をやめたのか、これからなにをしたいのか、自分でもよくわからないでいる。両親はあきれて小遣いの支給を停止したが、祖父、フジリネンのおじさん、佐紀さん、といったふんわりとした大人たちに囲まれて、美和もふんわりと生きている。しっかりしていて要領のいい弟にくらべると、周りに流されているだけのしょうもない女の子、といった感じの美和だが、マッサージだけはうまい。自分の持つその能力を自覚するようになった美和は、やがてその道に進むために猛烈に勉強を始める。こんなにうまくいく?とつっこみたくなるような、実にほんわかした、少女の成長物語なのである。(2007.3.13記)
☆物語の冒頭に出てくる「フジリネンのおじさん」の「フジリネン」を、「フリジネン」と読んでしまったので、このおじさんの正体がなかなかつかめませんでした(笑)。