『サフラン・キッチン』(ヤスミン・クラウザー著、小竹由美子訳、新潮クレストブックス)

c0077412_1513374.jpgイランで生まれ育った母マリアムと、イギリスで生まれ育った娘サラの物語。
アリアムはイランの大都市マシャドで裕福な家庭の次女として生まれ、有力者である父、優しい乳母、新しい知の世界へ導いてくれる若き使用人アリに囲まれてのびのびとした少女時代を送った。しかし、伝統と慣習に従わせようとする父親と、自立心の旺盛な娘は、次第に心が離れていく。動乱の一夜をアリに守られて過ごしたことが周囲の誤解を生み、名誉を守るためと称して父親がふるった狂暴な強権によって、父娘の距離は決定的なものとなる。心身ともに深く傷ついたマリアムは故郷とアリに心を残しつつ遠くイギリスへ渡ったのだった。
それから40年。この上なく優しい夫と、賢い娘に恵まれて平穏に生きてきたように見えたマリアムだったが、無惨に引き裂かれた故郷とアリへの思いのために、心の平安は得られないままだった。マリアムの心の乱れによって引き起こされた事態がもとで、大きな痛手を被ったサラ。許してはくれないだろうサラから逃れるように、そして封印してきたアリへの思いに駆り立てられるように故郷に向かったマリアム。40年という歳月の後に、マリアムはやっと心の平安を見いだしていき、マリアムを追ってアリの村を訪れたサラは、初めて母を心から理解し、受け入れていく。(2007.3.7記)

☆マリアムにすっかり感情移入して読んだので、ところどころページがよれよれになりました。(図書館の本なのに!) 夫のエドワード、ドクター・アーラヴィ、アリなどマリアムを囲む人々がいずれも人間的に優れたすばらしい人ばかりなのにも感動しました。
ところで、サラが気分転換のためにキッチンをサフラン色に塗り替える場面で、「サフラン色」がイランの赤土の色、傷口の血の色と表現されていて、ちょっと面食らいました。サフラン・ライスの温かみのある黄色を想像していたものですから。「サフラン色」というのは、雌しべの深い赤色のことだったのです。私が塗り替えるとしたら、「サフラン・キッチン」ではなく、断然「サフラン・ライス・キッチン」ですね。
[PR]
by nishinayuu | 2007-03-23 16:58 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/5767506
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 日本の孝行息子 その1 『Promise Song』 ... >>