『Promise Song』 (Linda Holeman 著、Tundra Books)

c0077412_150478.jpg著者の前書きによると、1868年から1925年にかけて、8万人あまりの子どもがイギリスからカナダへ送られたが、その多くはHomeと呼ばれる児童保護施設の子どもたちだったという。この物語の主人公は、こうした子どもたちの1人として著者が想定した14歳の少女・ロゼッタ。新しい家族の一員になれるという希望を抱いて、6歳の妹・フローラともにカナダに渡ったロゼッタを待ち受けていたのは、養女として引き取られることになったフローラとのとつぜんの別れだった。家族の一員としてではなく働き手としてロゼッタを引き取ったのは、小さな農場を営むミスター・トーマス。ぶっきらぼうなアルバート・トーマスと、夫を恐れている年若くてひ弱そうなルーナ・トーマスのもとで、ロゼッタの家事労働と慣れない農作業に明け暮れる厳しい毎日が始まる。
しかしロゼッタは、「いつもいっしょにいるからね」というフローラへの約束を果たすために、年季が明けて汽車の切符が買えるお金がもらえるまでは、と全力を尽くして働く。教師になるという夢を果たすために、様々な困難を乗り越えて学校にも通う。その間に、ルーナとの間に友情のようなものが育っていき、学校友達の少年との淡い恋も経験する。こうして状況は徐々に好転していくが、いよいよフローラを捜しに出かけようというときに、また大きな災難がロゼッタを襲う。この終盤の部分はまさに「手に汗を握る」展開。そしてもちろん最後の最後にはフローラとの感動の再会が待っている。(2007.2.27記)

☆同じ孤児でも、『赤毛のアン』のアンに比べるとロゼッタの苦労、困難はあまりにも過酷です。それでもこの物語には、本当に悪い人間は1人しか登場しません。冷たいように見える人物にもそれなりの事情があることが理解できます。むしろミス・ジャスパーやミセスファーガスンのように、全身全霊を傾けて愛し、保護してくれる人物のいることが、ロゼッタにも、そして読者にも救いです。もう一つ付け加えれば、最後に幸せをつかむ孤児に共通するのは「勉強がよくできる」ということでしょうか。
[PR]
by nishinayuu | 2007-03-21 12:00 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/5754571
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『サフラン・キッチン』(ヤスミ... 時は春、日は朝(あした) >>