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『中央公論 文芸欄の明治』(中公文庫編集部)

c0077412_14595416.jpg明治38年9月号から明治44年11月号までの期間に、雑誌『中央公論』に掲載された作品を、現代仮名遣いに改めて収録したもの。収録作品は以下の通り。
一夜(夏目漱石)、女客(泉鏡花)、ウッチャリ拾い(幸田露伴)、鼠坂(森鴎外)、家畜(島崎藤村)、竹の木戸(国木田独歩)、微光(正宗白鳥)、出産(徳田秋声)、帰朝者の日記(永井荷風)、秘密(谷崎潤一郎)
久しぶりに読んだ漱石の文体の古さにびっくり。英国に留学までした英文学者なのに、外国かぶれせずに戯作者風の文体で書いたのは偉い、とは思うけれど、とにかく読みにくくて閉口した。中学生の時に『吾輩は猫である』を読んだときは別に古いとも思わずに楽しめたし、その後も人並みにいろいろ読んできたつもりだが。それでも冒頭の漱石をクリアすれば、あとはすらすらと読み進められるし、どの作品もそれなりに面白い。(2007.2.21記)

☆興味深かったのが外国語の表記で、現在はカタカナ語で表記されていることばが、アルファベットのまま表記されていたりします。特に永井荷風の作品でそれが目立ち、たとえば「伊太利近代の歌劇作家Mascagni のCavalleria Rusticanaにならって……」「呼び鈴の音とともに現れる日本人のValetに案内されてすぐさま広い客間にはいると……」「巴里は……Sacré Cœurのような大寺院をも作り上げようとしている」といった具合。今出回っている小説とはちがって、限られた読者を想定して書かれていたことがわかります。
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by nishinayuu | 2007-03-17 10:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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