『世界の果てのビートルズ』(ミカエル・ニエミ著、岩本正恵訳、新潮クレストブックス)

c0077412_1455255.jpg1959年に生まれた著者の自伝的小説。母国スウェーデンで驚異的なベストセラーになり、世界20カ国以上で翻訳されており、映画化もされているという。
舞台はスウェーデンの北端にある寒村パヤラ村。男たちは密造酒をあおり、サウナで気絶するまで根比べをし、遺産を巡って殴り合う。若者たちは18になるまでけんかに明け暮れる。そんな荒っぽい人間たちと厳しい自然の中で大きくなっていく子どもたちの物語。一言もしゃべらなかった5歳の子どもが、いきなり外国人のことばを大人たちに通訳する話。死んだ老婆が魔女になって襲ってくる話。ギターを買うお金が欲しくてもとドイツ兵作家の家の鼠退治をする話。ビートルズとの衝撃的な出会い。などなど、色とりどりのエピソードがいっぱい詰まった、サーヴィス満点の読み物である。白髪三千丈的な話、荒唐無稽な話もあるが、いかにも子どもの体験、子どもの記憶らしくておもしろい。(2007.2.10)

☆あとがきによると、英訳本をもとに翻訳したそうです。トーネダーレン地方のフィンランド語、スウェーデン南部に位置するスコーネ地方の方言、ビートルズのレコードで覚えた怪しい英語、そしてエスペラントも登場するので、これらをカタカナで表記するのだけでもたいへんな作業だったでしょう。エスペラントのカタカナ表記はまずまずのできですから、他の言語もいい線を行っているのではないかと思います。
[PR]
by nishinayuu | 2007-03-03 10:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/5643236
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『冬の犬』(アリステア・マクラ... 「圓融院の御葬送の夜、朝光卿、... >>