『沼地のある森を抜けて』(梨木香歩著、新潮社)

c0077412_1721373.jpg一人暮らしの主人公(女性)が、死んだ叔母が残した曰くありげな「ぬか床」を引き継ぐことになる――というところから話は始まる。お弁当に入れたぬか漬けを会社の同僚に食べさせて喜ばれたり、身勝手なもう一人の叔母に腹を立てたり、と日常的なことが淡々と語られる一方で、「ぬか床」の非日常的な展開も同じく淡々と語られていく。『家守綺譚』と同工異曲の話か、と思っているととつぜん第3章に全く別の世界の物語が挿入されてきて???となる。接点のないように見えた2つの世界は章が進むにしたがって近付いていき、物語の展開はどんどんファンタジックになっていく。名付けて言えば、生物学的ファンタジーといった感じの作品である。(2006.12.9記)

☆私にとって3冊目の梨木香歩。はじめに読んだ『家守綺譚』がいちばん気に入っています。次によかったのは『村田エフェンディ滞土録』、というわけで、私にとってこの作品の順位は三番目。読み進むにつれて順位が下がっていっています。もし、梨木香歩との初めての出会いがこの作品だったら、他の作品は読まなかったかもしれません。
[PR]
by nishinayuu | 2007-01-23 09:58 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/5349054
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 「さぼると、冥王星されちゃうぞ」 『賢者の石』(コリン・ウイルソ... >>