『あの犬この犬そんな犬』(アントン・チェーホフ他、訳=務台夏子、東京創元社)

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『Kashtanka and Other Stories』(Anton Chekhov)
「犬好きの犬好きによる犬好きのための物語」と謳った本書には、11人の作家による11匹の犬の物語が収録されている。もちろん、犬好きでなくても充分楽しめる短編集である。

内容と作者を簡単に記しておく。
「仲裁犬マック」――スコティッシュ・テリアのマックが、すれ違い始めた飼い主夫婦の仲をとりもとうとかけまわる。作者:ジョン・ヘルド・ジュニア(1930年代に活躍したイラストレーター・漫画家。フィッツジェラルドの「ジャズ・エイジの物語」などにイラストを描いている。)
「彼女の犬」――彼女の死からちょうど六ヶ月目に、ぼくの前に現れた皮膚病持ちの汚い犬。追っても追ってもついてくるので家に入れたら、どうやら彼女もいっしょに入ってきたらしい。作者:マニュエル・コムロフ(1920~1930年代に活躍したニューヨーク生まれの小説家。)
「盲導犬バディ」――ニュージャージ州にある盲導犬協会「シーイング・アイ」のシェパードとご主人であるモリス氏(もちろん盲人)の息の合った暮らしぶり。作者:ディクスン・ハートウェル(1940年のエッセイ『Dogs Against Darkness』からの抜粋。)
「義侠犬ダボコ」――ギリシャ系のご主人に忠実で、ギリシャ語で吠えるとまでいわれる雑種犬の〈反ギリシャ人同盟〉との戦い。作者:マッキンリー・カンター(1920~1950年代に活躍した作家。本作は1961に発表されたもの。)
「神秘の犬」――『三匹曠野を行く』(The Incredible Journey、1961)からの抜粋。老ブルテリア犬・若きラプラドール犬・シャム猫の三人組とオジブワ族の出会い。作者:シーラ・バーンフォード(カナダの児童文学作家。)
「お嬢犬オフィーリア」――グレートデーン(デンマークの犬)であることからオフィーリアと名付けられた貴族的な犬が「春」に目覚め、庶民(雑種犬)の世界に惹かれていく。作者:コンラッド・ベルコヴィシ(ルーマニア出身のアメリカの小説家。)
「見習い猟犬ディーコン」――ポイント(身体を硬直させて静止して獲物の位置を示すこと)ができるようになっても悪ふざけが止まらない猟犬を、狩猟に夢中で休講の多い大学教授が躾けていく。作者:ハヴィラー・バブコック(ヴァージニア大の英語学部教授。)
「忠犬ウルフ」――「名犬ラッド」の息子で、姿形は犬というよりオオカミに似ているコリー犬のウルフが愛する少年と森に出かけたとき、少年が氷の張った沼に落ち込む。作者:アルバート・ペイソン・ターヒューン(「名犬ラッド」を書いたアメリカの小説家。)
「花形犬スポット」――大きな犬だと思い込んでサーカスのライオンに噛みついて有名になったスポットを檻に入れて、飼い主の少年フレクルズはサーカスを始める。入場料はなんと「待ち針(!)10本」。作者:ドン・マーキス。イリノイ生まれの小説家・ジャーナリスト。)
「望郷の犬ニック」――軍に徴用され、戦争用に訓練されたニック。戦争が終わってやっと懐かしい故郷の家に帰れたのに、仲良しだった少年にもその母親にも歓迎されなかった。ほろ苦い後味の名作。作者:コーリー・フォード(ライフ誌やニューヨーカー誌で活躍した作家。)
「迷い犬カシタンカ」――指物師のご主人とはぐれてしまった若い赤犬のカシタンカは、優しい男に拾われてネコや雌ブタといっしょにサーカスに出演する。作者:アントン・チェーホフ(1887年の末に発表された作品。)
(2016.11.16読了)
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by nishinayuu | 2017-01-16 09:25 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2017-01-19 19:02 x
どれも面白そう。犬はかわいいですね。
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