『ミステリアス・ディナー』(デイヴィド・グレゴリー、訳=西田美緒子、ランダムハウス講談社)
2016年 09月 18日
本書は10の章で構成されており、第1章は「招待状」となっている。「ナザレのイエスとの夕食会にご招待いたします/場所 レストランミラノ/日時 三月二十四日火曜日午後八時より」という文面の招待状の宛先は、オハイオ州シンシナティのブルーイット環境試験所の戦略企画部長ニック・コミンスキー。というわけで本書の語り手のニックは、半信半疑ながらイエスとのディナーに出向く。そして第2章以降は「テーブルへ」「メニュー」「前菜」「サラダ」「メインディッシュ」「デザート」「コーヒー」「支払い」という具合に続いて第10章「帰宅」で終わる。ニックがイエスと差し向かいでディナーを楽しみながら語り合うという設定なのだが、ニックは小学生のように素直だし、イエスは優しい牧師さんのよう。ニックの肩書きには特に意味はなさそうだし、イエスにもミステリアスなところはみじんもなく、ストーリーにも何の捻りもない。タイトルと設定に凝った「キリスト教入門書」というところか。
別れ際にイエスが連絡先としてニックに教えたのは「黙示録三・22」。これを日本語、英語、韓国語、エスペラントで記しておく。
耳のあるものは御霊が諸教会に言われることを聞きなさい。
He who has an ear, let him hear what the Spirit says to the churches.
귀 있는 자는 성령이 교회들에게 하시는 말씀을 들을찌어다.
Kiu havas orelon, tiu aŭskultu, kion la Spirito diras al la eklezioj.
(2016.7.19読了)