『The Cat That Walked by Himself』(Rudyard Kipling)

c0077412_13414934.png『ただ一匹で出かけていく猫』(キプリング)
シャルル・ケクラン(作曲家サティの同時代のフランス人作曲家)が1920年に書いたサティ論に次のような一説があるという。
諸君はキップリングの書いた『ただ一匹で出かける猫……』という面白い物語をご存じだろう。私はサティのことを考えるたびに、この奔放な猫の姿を思い浮かべずにはいられないのだ。

もしかしたらサティを理解するための必読書?と思ってウエブで探してみたら、キプリングの『Just So Stories』に収録されている一編だとわかった。さて、その物語とは……

昔むかし、ひとりの男がひとりの女と一緒に暮らし始める。男は外で狩りをし、女は洞穴の中で子育てと家事をする。そのうち彼らは犬、馬、牛を飼い慣らす。犬は彼らの「最初の友」となり、馬は「最初の従者」となり、牛は「おいしい食べ物をもたらすもの」となる。このとき自分も洞穴の火のそばでくつろいだりミルクを舐めたりしたいと思った猫は、女と取引して三つのことを約束させる。ひとつ、子どもをあやして泣き止ませたら洞穴に入れる。ひとつ、転がる糸玉にじゃれついて子どもを笑わせたら火のそばでくつろげる。ひとつ、女が怖がるネズミを食い殺したら温かいミルクを飲ませてもらえる。こうして猫は三つのことを実行し、ついに洞穴に入り込んで火のそばでくつろぐことに成功する。女は温かいミルクの入ったボウルを差し出しながら猫に告げる。「おまえは男と同じくらい賢い。でも約束は私とおまえの間で交わしたものなので、男と犬がどう出るかはわからないよ。」
さて狩りから戻ってきた男はブーツ1足、石のナタ、棒きれ、斧を並べて猫に告げる。「洞穴の中でネズミを捕まえなかったら、このうちのどれかをおまえに投げつけてやる。」すると猫が応える。「洞穴の中ではネズミを捕まえるけれど、外では自分の思うままにやっていくよ、I am the cat who walks by himself, and all places are alike to me.」
これを聞いた男は「最後の余計な台詞を言わなければ外ではおまえを放って置いただろうに。でも、聞いたからには、おまえに出会ったらいつでもものを投げつけてやる。おれの後に続く男もみんなそうするからな。」ここで犬も口を出す。「おれとの取引もしないと。洞穴の中で子どもによくしてやらなかったらおまえを追いかけてかみついてやる。後に続く犬もみんなそうするからな。」そして女も一言付け加える。「賢い猫だと思ったが、男と犬のほうが賢い!」
男の5人に3人は猫にブーツやナタを投げつけ、全ての犬は猫を家から追い出して木の上に追い上げるのはこういうわけだ、というお話でした。

素敵なイラストの作者名は残念ながら調べがつかなかった。(2016.4.4読了)
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by nishinayuu | 2016-06-14 13:42 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2016-06-15 22:59 x
男と犬はハンターで、猫は獲物になってしまったようですね。おもしろいですね。
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