『猫は糊をなめる』(リリアン・ブラウン、訳=羽田詩津子、早川書房)

c0077412_10364848.jpg『The Cat Who Sniffed Glue』(Lilian Braun, 1988)
本作はシャム猫ココ・シリーズの第8巻目。主人公はもと新聞記者のクィラランとその飼い猫のココとヤムヤムである。今回注目の登場人物は銀行家ナイジェル一家(妻のマーガレット、双子の息子のハーレーとデイヴィッド)とチンピラのチャド、古本屋のエド、剥製師のウィリー、壁張り職人のピートなど。もちろんアーチ・ライカ(「ムース郡なんとか」新聞の発行人)、ミルドレッド(フード・ライター)、アイリス・コブ(博物館長)、ポリー・ダンカン(図書館司書)、フランセスカ(インテリア・デザイナー)、ブロディ(警察署長)などのレギュラー・メンバーも活躍する。
事件は銀行家一家のハーレーと妻のベルの殺害から始まり、糊をなめるのが好きなココが、犯人の口ひげが糊で付けたものであることを見破ったことから解決される。
この巻の目玉は全体が戯曲仕立てになっていることで、各章は第一幕、第二幕となっており、幕はさらに第一場、第二場…という具合に細分されて、それぞれの「場」のはじめに「場所」「時」「登場人物」が掲げられている。また、登場人物の一人が古本屋で、学はないけれども大変な読書家で、ことあるごとに著名人の文や名言を引用することになっている。すなわち、文学臭と衒学臭いっぱいの巻なのだ。おもしろいので引用されている名言を以下に記しておく(残念ながら典拠を確認したり原文にあたったりする気力がないので、作者と訳者を信じて訳文のまま記しておくことにする)。
*我々が建物を作り、その後は建物が我々を作る(チャーチル)
*仕事は娯楽よりもはるかに楽しい!(ノエル・カワード)
*宣伝は…知的誠実さと道徳的高潔さを破壊する活動である(トインビー)
*理性が命令を下し、食欲はそれに従うべし(キケロ)
*愛はわたしたちすべてを愚かにする(サッカレー)
*熱意は理性の熱病である(ヴィクトル・ユーゴー)
*もっとも高い文明においても、本はやはりもっとも大きな喜びをもたらす(エマースン)
*小部屋には無尽蔵の富がある(マーロウ)
*生きるために食べ、食べるために生きなくてはならない(フィールディング)
*教育のない人間にとって、引用句の本を読むのはためになる(チャーチル)
(2015.8.19読了)
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by nishinayuu | 2015-12-13 10:37 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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