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『私たちがやったこと』(レベッカ・ブラウン,訳=柴田元幸、マガジンハウス)

『私たちがやったこと』(レベッカ・ブラウン,訳=柴田元幸、マガジンハウス)_c0077412_13502682.jpg『Annie Oakley’s Girl』(Rebecca Brown)
一つの作品を純粋に楽しむためには作者についての情報はないほうがいい、と常々思っているが、全く初めての作家の場合は、作品の内容とレベルに見当をつけるためにある程度の作家情報は必要である。それで今回、まず「訳者あとがき」をちらりと読んでみたところ――

レベッカ・ブラウンは1956年に生まれ、シアトルを拠点に作家活動を続けている作家である。レッテル的にはレズビアン作家ということに一応なるだろうし、レズビアン小説・エッセイのアンソロジーにも彼女の作品はしばしば収められている。(中略)何年か前、雑誌で初めてこの作家の作品を翻訳紹介した際に僕はとりあえず「幻想レズビアン作家」というレッテルを付したし、今でもこのレッテルがこの作家の核にある程度触れているとは思っているが、同時に、こうした限定的なラベルが作品の普遍性を覆い隠してしまう危険があることもしばしば感じてきた。だからひとまず、このレッテルは撤回する。読者一人ひとりが自分自身にとってのこの作家の核心を決めてくださればよいと思う。
――ということだそうだ。
以前、Amazonである女性作家の本を購入したら、その後何ヶ月も「あなたにおすすめの本」としてレズビアン小説の紹介が来て本当に参ったので、その手の本は避けてきた。けれどもこの短編集は図書館の本なのでこのあと類似本のお勧めが来る心配もないし、訳者も信頼できるので、読んでみることにした。
さて、いちばんよかったのは『よき友』で、ゲイ・レズ仲間の真摯でせつない友情の物語である。こんな強い絆で結ばれるにはゲイやレズであることが必要条件なのだろうか、と考えさせられてしまった。表題作と『よき友』の他に以下の5編が収録されている。
『結婚の喜び』『アニー』『愛の詩』『ナポレオンの死』『悲しみ』
(2015.7.31読了)
Commented by nishinayuu at 2015-11-30 23:53
鍵コメさまへ。「性的マイノリティーの人が書いたもの」ということにはこだわらずにお読みになることをお勧めします。
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by nishinayuu | 2015-11-27 13:51 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)

読書と韓国語学習の備忘録です。


by nishinayuu