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『血の咆哮』(ウィリアム・クルーガー、訳=野口百合子、講談社文庫)

『血の咆哮』(ウィリアム・クルーガー、訳=野口百合子、講談社文庫)_c0077412_1405087.jpg『Thunder Bay』(William Kent Krueger, 2007)
本書はアメリカのミステリー作家クルーガーによる「コーク・オコナー・シリーズ」の7巻目。訳者のあとがきによると、ハードボイルド・ミステリーとして人気を博しているこのシリーズのピークとも言うべき「マストリード」の一冊であり、主人公コークの目を通して登場人物とこれまでのいきさつが新たに語り直されているので、初めての読者にも入りやすい、ということだ。
さて物語は、コークが先住民族のまじない師メルーと一緒にスペリオル湖畔のサンダー・ベイへ旅をする話が主旋律となり、いきなり人生の選択を迫られた娘のジェニーの話が副旋律となって綴られていく。ハードボイルドといってもどぎつさはなく、コークが家族、友人、知人と健全で穏やかな関係を保っている点も好感が持てる。ミステリーなのでストーリーを記すことは控え、主な登場人物をざっと紹介しておく。

*コーク・オコナー:ミネソタ州のもと保安官。アイアン湖畔オーロラでハンバーガー・スタンドをやっている。最近、私立探偵のライセンスを取得。
*ジョー・オコナー:コークの妻。弁護士。
*ジェニー:オコナー家の長女。アイオワ大学の創作ワークショップを目指している。
*ショーン:ジェニーの恋人。
*ウォリー・シャノー:コークの友人。もと保安官。妻を亡くした寂しさを紛らわすために、コークの助手になる。
*ヘンリー・メルー:先住民族オジブワ族。高齢のまじない師。72年前にもうけて一度も会ったことのない息子に会いたいと言い出す。手がかりは恋人マリアの写真のみ。
*ウッドロー・メルー:ヘンリー・メルーの叔父で育ての親。
*マリア・リーマ:72年前に生き別れたヘンリー・メルーの恋人。
*カルロス・リーマ:マリアの父親。金鉱を求め歩く山師。
*レナード・ウェリントン:カルロスの相棒。ヘンリー・メルーからマリアを奪って妻にした。
*ヘンリー・ウェリントン:マリアの息子。
*ルパート・ウェリントン:ヘンリー・ウェリントンの異母弟。
*モーリス:ヘンリー・メルーとマリアの友人。人里離れた小屋に住む。
*トリンキー・ポラート:サンダー・ベイの住人で、もとカナダ騎馬警察の隊員。

コークが「ここは原始の森。そびえる松と栂……苔のひげをはやし……古代のケルト族の祭司のように立つ……だったろうか。ロングフェローだと思う」と言っているのは『Evangeline(エヴァンジェリン)』の冒頭部。原詩は以下の通り。
This is the forest primeval.
The murmuring pines and the hemlocks,
Bearded with moss, and in garments green, indistinct in the twilight,
Stand like Druids of eld, with voices sad and prophetic,
(2015.7.7読了)
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by nishinayuu | 2015-11-11 14:01 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

読書と韓国語学習の備忘録です。


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