『花はこべ』(大島英昭、ウエップ、2015)


c0077412_15111722.jpg本書は学生時代の友人による第2句集である。俳句とは無縁の人間に貴重な句集を送ってくれたことに感謝しつつ、詠まれた景とそのときの詠み手のたたずまいを想像しながら、また一語一語の音を辞書やインターネットで確認しながら読んだ。おかげで季語や俳句独特の言い回し、難読漢字などの知識が少し増えたような気がする。それはそれとして、俳句の世界ではなぜ難読漢字にルビをつけないのだろうか。鑑賞者に解読の苦しみを味わわせるのも俳句を詠む楽しみのひとつなのか、と勘ぐりたくなる(著者への苦言ではなく、俳句を詠む人全般への思いです)。そうかと思うとルビなど不要と思われるところにルビがあったり、漢字表記でもよさそうなところがひらがな表記になっていたりする。表記に関してなにか決まりのようなものがあるのだろうか。それはともかく、今回せっかく辞書を引き引き解読したので、それらを記録しておくことにする(結果的に無知をさらけ出すことになりますね。)

〇ルビがほしかったことば――石蓴(あおさ)、萍(うきくさ)、穭田(ひつじだ)、秋黴雨(あきついり)、磴(とう:石段/坂道)、榠樝(かりん)、末黒野(すぐろの:野焼きのあとの黒くなった野)、木五倍子(きぶし)、行行子(ぎょうぎょうし:オオヨシキリ)

〇独特の表現――ほろろ打つ(雉、山鳥などが羽ばたきする/羽ばたきして鳴く)、小六月(10月の異称)、捨子花(曼珠沙華の異称)、数へ日(年末の残り少ない日々)、春ならひ(春北風)、鳥曇り(冬鳥が北へ帰る頃の曇り空)、雀がくれ(春の草丈が雀を隠す位に伸びた状態)、まくなぎ(糠蚊の一種。かたまって上下に飛び、目の前につきまとう)、との曇り(空一面に曇ること)

おこがましいので俳句の鑑賞はしない(できない)が、特に心惹かれた句を挙げておく。
藁葺きの屋根の高みを夏の蝶
野茨の実の赤らみてゆくところ
丘あれば丘の形に曼珠沙華
野ぶだうの路傍に熟るる妻の里
声明の途切れ途切れに黒揚羽

(2015.7.1読了)
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by nishinayuu | 2015-11-07 15:11 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2015-11-12 16:40 x
漢字も読めないし、都会では見ることのできない情景の言葉も多いですね。
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