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『チボー家の人々8-1914年夏』


『チボー家の人々8-1914年夏』_c0077412_22362115.jpg(マルタン・デュ・ガール、訳=山内義雄、白水Uブックス)
『Les Thibault8- L’Été 1914』(Martin du Gard)
この巻では1914年の夏という限定された期間の、しかも夏いっぱいではなく、6月28日(日曜)から7月20日(月曜)という1ヶ月にも満たない短期間の出来事が詳細に綴られている。舞台は前半がジュネーヴ、後半がパリとなっている。ジャックはジュネーヴで、革命を目指す若者たちからなる大きな集団の一員として使命感に燃えた日々を送っている。この巻で特筆すべきは、登場人物のうちかなりの数の人物の容姿が、必要以上に(つまり出来事や彼らの言動とは無関係に)微に入り細にわたり描写されていることである。もしかしたらこれらの人物は作者が実際によく知っている人々をモデルにしたもので、作者は彼らの言動だけでなく容姿もそっくり取り入れないと気が済まなかったのではないだろうか。例によって、内容説明のような目次をそのまま記しておく。

一 1914年6月28日・日曜日――ジュネーヴにて。ジャック、パタースンのアトリエでモデルとなる(パタースンはイギリス人の同志で画家)
二 同日――グローブ・ホテルでのジャックとヴァンネード(ヴァンネードは同志の一人で、色素欠乏症)
三 同日――ジャックのメネストレル訪問(またの名をパイロットというメネストレルは仲間たちのリーダー的存在)
四 ジャックの属する国際革命家集団
五 同日――本部での集会
六 (つづき)
七 (つづき)
八 同日――ジャック、メネストレルおよびミトエルクと散歩する――暴力論議(ミトエルクは「技術家型」に属する暴力主義の理論家)
九 (続き)――サラエヴォにおける暗殺事件の報
十 7月12日・日曜日――メネストレルのもとでの集まり。ベームと最近ウィーンから帰来したジャックによるヨーロッパ情勢に関する説明
十一 (つづき)
十二 同日――戦争の脅威に対するメネストレルおよびアルフレダ間の反発(アルフレダはメネストレルの恋人)
十三 7月19日・日曜日――アンヌ・ドゥ・バタンクールの午後(アンヌはアントワーヌの情婦)
十四 同日――ジャック、兄を訪問。アントワーヌ、その新居を弟に見せる
十五 同日――兄弟、対外政策に関して語り合う
十六 同日――ジャック、兄の家にて晩餐をともにす。家庭的な話
十七 同日――社会問題に対するジャックとアントワーヌの態度の相違――思いがけないジェンニーの来訪
十八 同日――アントワーヌとジャック、ジェローム・ドゥ・フォンタナンがピストル自殺を企てたホテルに出かける
十九 同日――ジャックにとっての一日の終わり――新しい政局
二十 同日――アントワーヌ、フォンタナン夫人と病院に宿泊
二十一 同日――ジェロームの枕元でのフォンタナン夫人
二十二 同日――弟の来訪についてのアントワーヌの反省
二十三 同日アントワーヌ、フォンタナン夫人の依頼によりグレゴリー牧師の来訪を求む
二十四 7月20日・月曜日――パリにおけるジャックの一日――病院にダニエルを訪ねる
二十五 同日――アントワーヌとアンヌ、パリ郊外へ晩餐におもむく
(2015.6.13読了)
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by nishinayuu | 2015-09-24 22:36 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)

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