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『Antony and Cleopatra』(Shakespeare, Greenwich House)

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『アントニーとクレオパトラ』(シェイクスピア)
本作は『Julius Caesar』から8年後の1606年に書かれた作品で、プルタルコスの『英雄伝』が下敷きとなっている。
舞台はBC40~30のローマとエジプト。『Julius Caesar』における名演説でブルータスを退けて権力を握ったアントニーの後半生が描かれる。すなわちこの戯曲の主題は、エジプト女王クレオパトラとの恋の駆け引きと、英雄の転落である。登場人物は以下の通り。
*アントニー ローマの三執政官の一人
*オクティヴィアス・シーザー ローマの三執政官の一人
*ポンペイ 執政官への反逆者
*イノバーバス アントニーの忠実な従者だったが、後にオクタヴィアス側に寝返る
*クレオパトラ エジプトの女王
*チャーミアン クレオパトラの侍女
*オクティヴィア オクティヴィアスの姉、アントニーの2番目の妻(最初の妻ファルヴィアがオクティヴィアスに戦いを挑んで戦死した後、アントニーがオクティヴィアスとの和解のために結婚)

この戯曲の特徴のひとつは他の戯曲に比べて場面の変化がめまぐるしいことだ。エジプトのアレキサンドリア→ローマ→エジプト→シチリアのメシーナ→ローマへと舞台が移る物語が、5幕42場で展開される。
もう一つの特徴は女性の活躍がめざましいことだ。主役の一人がクレオパトラなのだから当然といえば当然だが、クレオパトラだけでなく侍女のチャーミアンもかなり出番が多く、台詞も多い。当時のロンドンに演技力のある「少年俳優」が複数存在したと推察できる。
気になったのはクレオパトラの描かれ方。アントニーが結婚したオクタヴィアに対する嫉妬心を露わにし、結婚を伝えた使者を脅迫する姿は、プトレマイオス家を継承する高貴な女性とはとても思えない。舞台の上でまるで庶民の女房のようにはしたなく振る舞うクレオパトラの姿は、当時の人々をさぞ喜ばせたことだろう。しかし、アントニーの死後、オクティヴィアスからローマへ招かれたときにオクティヴィアスの思惑を見抜いて死を選ぶクレオパトラは、エジプトの女王にふさわしい毅然とした姿に描かれている。(2015.4.23読了)
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by nishinayuu | 2015-09-04 21:05 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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