『チボー家の人々4-美しい季節Ⅱ』(マルタン・デュ・ガール、訳=山内義雄、白水Uブックス)

c0077412_938664.jpg
『La Belle Saison2-Les Thibault4』(Martin du Gard)
この巻は7~14の8つの章からなり、ジャックとジェンニーのぎこちない恋と、ラシェルとアントワーヌの大人の恋を中心に、彼らの周りの絡まりあった人間関係が綴られていく。前の巻と同様、目次に内容が簡潔にまとめられているので、それに沿って記述していく。
♢第7章:フォンタナン夫人、夫に呼ばれてアムステルダムに行く
[ノエミ(夫人の従姉妹)と同棲している夫のジェロームからSOSの電報が来る。ノエミは死の床にあり、家主からはすぐにも出て行けといわれていた。夫人はノエミの娘であるニコルも呼び寄せて、母親を見送らせる]

♢第8章:ジャックとジェンニー。森の散歩。壁画のキス
[ジェンニーは兄のダニエルを「不純、背徳」と評し、ジャックは兄のアントワーヌを「一種のあつかましさ」と評する。ジャックにはジェンニーが少しずつ見えだし、ジェンニーは「あたしたち、なんて似ているんだろう」と思う。ふたりはソ・ドゥ・ルーに沿って小道を辿る。ソ・ドゥ・ルーはsaut-de-loupと綴り、地所の周りに巡らす空堀のこと]

♢第9章:ラシェルの部屋での日曜日。写真
[アントワーヌはラシェルの肉体に魅せられている。ラシェルはかつて彼女に曲馬の芸を仕込んだイルシュという男の話をし、男の写真も見せる。ラシェルの母親のゲプフェル夫人は精神病院に入っている]

♢第10章:メーゾン・ラフィットでのジェローム――ジェンニー、すべてを母に語る
[ジェロームは息子や娘とうまくやっていこうと努める一方、彼らの若さを羨望する。というのもジェロームは「萎靡と不潔と臭気と老衰と、すなわち、すでに自分の中に始まりかけている人間最後の分解の前駆的徴候たるところのものにたいして」毎日たたかっていたからだ。ダニエルはジャックに対するジェンニーの気持ちに気づく。フォンタナン夫人はジェンニーの気持ちを確かめる]

♢第11章:アントワーヌとラシェルと、映画館に行く。アフリカの映画――パクメルでの夕
[ラシェルは昔オペラ歌手のズユッコと関係があった話をする。またアフリカと黒い肌への熱い思いを語る]

♢第12章:ジェローム、リネットに再会す
[リネットはもともとノエミがブルターニュから連れてきた小間使いだったのをジェロームが愛人にして、そのまま忘れていたのだった]

♢第13章:アントワーヌとラシェルと、ゲ・ラ・ロジェールの墓地を訪れる
[墓に眠るのはラシェルとズユッコの子ども。ラシェルはアントワーヌに、兄と妻のクララ(イルシュの娘だった)がイタリアの湖で死んだ、と話す]

♢第14章:ラシェルの出発――ル・アーヴルでの最後の一日――港口での別れ
[ラシェルは「イルシュに呼ばれたから」といってカサブランカに発っていく]

前巻の第4章に、アントワーヌが「ミクスト・グリル(にする)?」と言うと、ラシェルの顔は、不思議な微笑に輝いた、というくだりがある。その微笑がなにを意味するのかが第14章で明らかになる(これに気がついて、ちょっと嬉しい)。(2015.4.12読了)
[PR]
by nishinayuu | 2015-08-15 09:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/24555531
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
<< 『あらしの前』(ドラ・ド・ヨン... 『チボー家の人々3-美しい季節... >>