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『チボー家の人々3-美しい季節Ⅰ』(マルタン・デュ・ガール、訳=山内義雄、白水Uブックス)

c0077412_1065438.jpg『La Belle Saison1-Les Thibault3』(Martin du Gard)
この作品は若いときに読みそびれ、その後は「今さら」という気持ちがあって読みそびれていたもの。今さら、とは思うがやはり今読んでおかないと死ぬまで読めないだろうと思うので、思い切って読み始めることにした。ただし近くの図書館には最初の2巻が見当たらないので、3巻目から。

この巻は1~6の6つの章からなり、各章の内容が目次に簡潔にまとめられているので、それに沿って記述していく。
♢第1章:ジャック、エコル・ノルマルの入学試験に合格する――アントワーヌ、ジャックと語る――発表――ジャック、ダニエルやバタンクールといっしょに帰る
[エコル・ノルマルは1924年にサルトルも入学している。ジャックはサルトルと同時期に学生生活を送ったことになるのだろうか。アントワーヌはジャックの兄で医者、ダニエルは彼らの友人で画家。バタンクールも友人で、未来の牧師]

♢第2章:パクメルの一夜――ダニエル、ジャックを紹介する――晩餐、ジュジュおばさん。ポール。マダム・ドローレスと孤児の少年。ダニエルとリネット。ジャック、あわただしく席をはずす――ダニエル、リュドウィクスンからリネットを奪う
[パクメルは酒場の名。リュドウィクスンは画商でダニエルを高く買っている。リネットはジュジュおばさんが連れてきた魅力的な若い女性で、ダニエルがドゥ・フォンタナンという姓を名のると顔色を変る]

♢第3章:アントワーヌ、シャール氏の訪問を受ける――デデットの奇禍――手術――ラシェル
[シャール氏はチボー氏の秘書。デデットはシャール氏がめんどうを見ている女の子。馬車にひかれて危篤状態のところにアントワーヌが駆けつけて外科手術をする。この場面は迫力満点。ラシェルはその手術の助手を務めた隣家の女性。アントワーヌは彼女の魅力の虜になる]

♢第4章:シャール氏、警察署へ出かける――アントワーヌ、ラシェルを伴って昼食を共にする
[ラシェルがラシェル・ゲプフェルトと名のったとき、即座にアントワーヌは「おそらく相手はユダヤ人だな」と思う。果たしてラシェルは父親がユダヤ人なのだが、このような西欧人には当たり前らしい「教養」を持っていないのは残念でもあるが、先入観を持たずにすむという意味では幸いでもある(と、ちょっと負け惜しみ)]

♢第5章:ジャック、メーゾン・ラフィットへ出かける――ジゼールとの午後――チボー氏、兄弟に向かって戸籍簿の記載変更の意図を告げる――夕食後、アントワーヌとジャック、フォンタナン夫人を訪問。ニコルと許嫁の男
[チボー家もフォンタナン家もメーゾン・ラフィットに別荘を持ち、親しくつきあっている。16歳のジゼールはジャックの妹的な存在で気の置けない遊び友達。母は父のヴェーズ少佐がマダガスカル滞在中にめとった混血児なので、ジゼールの肌は小麦色でちょっと縮れた黒い髪、低い鼻、厚ぼったい唇をしている。戸籍簿の記載変更云々は父のチボー氏によると、並のチボー氏とは違う家柄なのだと世間に知らしめるために、この先息子たちが父の名と棒を入れたオスカール=チボーという姓を名乗れるようにしたもの。ニコルはダニエルやジェンニーの従姉妹。許嫁はアントワーヌの元同僚の外科医、フェリックス・エッケ]

♢第6章:ジャック、ジェンニーにバタンクールの結婚式の話をする
[ジャックとジェンニーの互いに片意地なぎこちない交流]

訳は名翻訳家として知られた山内義雄のものなので安心して読めるが、1つだけ気になったのは「らしい」の使い方。たとえばラシェルがアントワーヌについて「いかにも貪欲な子どもらしいようす」と言っているが、ここは「子どものような/子どもっぽい/子供じみた」でないとおかしい。
(2015.4.11読了)
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by nishinayuu | 2015-08-11 10:08 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2015-08-14 21:31 x
懐かしい。高校生の時に読みました。それでユグノー(新教徒)とか、フランスの中産階級の雰囲気とかに触れてうれしかった記憶があります。カトリック系の女子高に通っていた友達が、読むなと言われたと言っていたのを思い出します。
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