『猫は14の謎を持つ』(リリアン・ブラウン著、羽田詩津子訳、早川文庫)

c0077412_13571452.jpg『The cat Who Had 14 Tales』(Lilian Braun, 1988)
1966年から2007年まで、全部で29編のココ・シリーズを発表した作家による、ココ・シリーズではない2編のうちの一つ。もう1編の『猫は日記をつける』(2003)はココの相棒であるクィラランの日記ということになっているので、純粋にココと関わりのない作品はこの作品だけということになる。

本書は表題からわかる通り14の短編からなっており、作品毎に異なる猫、異なる人間が登場するところに、ココ・シリーズとはまた別のおもしろさがある。特によかったのは次の4つ。前の3つはそれぞれ本題に入る前に「ガットヴィル・コミュニティ・カレッジの口承歴史プロジェクトのために録音されたものである」という但し書きがついている。また、後の一つはブラウンのファンが年3回発行している(していた?)「ニューズ・レター」における一番好きな短編を選ぶ読者投票で1位に選ばれたという。
『イースト・サイド・ストーリー』――ロメオとジュリエットの猫ヴァージョン。
『ティプシーと公衆衛生局』――公衆衛生局の査察官に目の敵にされながらも、波止場の労働者たちに愛された猫ティプシーの話。
『良心という名の猫』――銀行支店長のミスター・フレディーは銀行のお金を使い込み、首を括って死んだ。ミスター・フレディーのお葬式に出ていた銀行猫は、銀行の裏の納屋で首を絞められて死んでいた。インタビューに応えてこうした事情をしゃべっている老女はいったい何者?
『マダム・フロイの罪』――マダム・フロイは賢いシャム猫だった。その愛息子サプシムが隣の部屋に越してきた大男に10階から突き落とされて死んだ。凶器はヴァイオリンの弓。この男、なんとヴァイオリンでバルトークを弾くのだ。しかもマダム・フロイの同居人に「あんなに粗野な人が、よくあれだけ繊細な音を出せるわね」と言わせるほどの腕らしいが、猫の耳には「血も凍るような不快な音」に聞こえるらしい。つまりマダム・フロイからすれば何から何まで粗暴でしかない男であり、彼女は男のその粗暴さを利用して復讐をはかる。さて、首尾やいかに?(2014.12.6読了)
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by nishinayuu | 2015-07-06 13:58 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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