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『猫は殺しをかぎつける』(リリアン・ブラウン、訳=羽田詩津子、早川書房)


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『The Cat Who Saw Red』(Lilian Braun, 1968)
本作はクィラランとシャム猫というユニークな探偵コンビを主人公にしたシリーズの第4作目で、1968年に書かれている。(発表は諸般の事情によって20年近く後。)

作品の時代は1960年代後半で、主人公のクィラランは46歳という設定。所はアメリカの中西部の小都市で、登場するのは陶芸家たちと料理人たち。それらの人たちが共同生活を営む「マウス・ハウス」を取材のために訪れたクィラランは、そこで初恋の女性・ジョイに再会する。そして彼女に出あった高揚感も手伝ってクィラランはマウス・ハウスの6号室に引っ越すことになる。その部屋は

天井がゆうに二階分の高さもあり、庭に面した壁の半分は小さなガラスをいくつもはめこんだ窓になっていた。春の夕日のオレンジ色の輝きが部屋を染め上げ、机の上方の三枚の鉛枠つきの窓ガラスは、虹色にきらめいている。

と、描写されている(こんな部屋に私も住んでみたい!)。しかしこんな素敵な部屋のあるこの建物は過去に忌まわしい事件が起こった現場であり、これから忌まわしい事件の現場になろうとしていたのだった。

29作あるこのシリーズの中には、シャム猫のココとヤムヤムがほんの添え物になっていて探偵にはあまり貢献していないものもあるが、本作では2匹が大いに活躍する。たとえばココはタイプライターを操作してクィラランに事件の手がかりを教えるし、ヤムヤムと一緒に部屋中に蜘蛛の巣のように毛糸を張り巡らして、犯行を未然に防ぐとともに事件を解決に導く。特にココは探偵・クィラランにとって重要な相棒で、「ココの第六感が疑わしい行動を突き止めた時は、クィラランの敏感な口ひげも童謡の警告を発」するのだ。しかもこの相棒はなかなかのくせ者で、医者の命令でダイエットを始めたクィラランが一日の努力の結果を見ようと体重計に乗ったとき、彼に「3ポンドも太っているなんて!」という嘆きの声を上げさせる。ココが前足を体重計にかけて踏んばっていたのだ。(2015.3.26読了)
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by nishinayuu | 2015-07-02 09:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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