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『ある小さなスズメの記録』(クレア・キップス、訳=梨木香歩、文藝春秋社)


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『Sold for a Farthing』(Clare Kipps, 1953)
読書会「かんあおい」2015年4月の課題図書。


本書はロンドン郊外に住む一人の女性と、彼女に拾われたイエスズメとの間に培われた友情の物語である。出会いは1940年の7月。防空対策本部隣組支部の一員として、長い一日の任務を終えて帰宅したキップス夫人は、玄関先で瀕死の小鳥を見つけて、思わず拾い上げる。なんとか生命がつながったあとでわかったことだが、このスズメは左の翼にも左の脚にも障害があった。おそらくそのせいで、生まれてすぐに巣から投げ捨てられたのではないだろうか、とキップス夫人は推測する。将来飛ぶことも歩くことも満足にできそうもない小スズメだったが、驚くべき勢いで元気になり、やがて豊かな感性を持つ個性的なスズメへと成長していく。そして、様々な芸当によって人々の喝采を浴びた「俳優としての生活」、スズメとしては珍しい「音楽家としての生活」、成鳥としての「愛の生活」を経て、小スズメは11歳頃に「老いを迎えて」、最後は老衰で12年7週と4日の生涯を閉じる。この小スズメと共にした奇跡ともいえる素晴らしい日々を、ピアニストでもあるキップス夫人は芸術家らしい感性と知性溢れる文章で綴っている。(2015.3.12読了)

☆本書の原題はマタイ伝10章29節から取られています。なお、farthingはイギリスの昔の青銅貨(旧貨幣の1/4ペニーに相当)、韓国語訳とエスペラント訳にみられるアサリオン、アサーロはローマ帝国の貨幣です。
Are not two sparrows sold for a farthing? and one of them shall not fall on the ground without your Father. (King James Bible)
Are not two sparrows sold for a penny? Yet not one of them will fall to the ground apart from the will of your Father. (日本国際ギデオン協会)
「スズメは二羽まとめて一銭で売っているほどのものである。しかしそういうスズメの一羽ですら、主の許しなしでは、地に落ちることもかなわないではないか」
(ついでに韓国語訳とエスペラント訳も)
참새 두 마리가 한 앗사리온에 팔리는 것이 아니냐 그러나 너희 아버지께서 허락지 아니하시면 그 하나라도 땅에 떨어지지 아니하리라 (Korean Bible Society)
Ĉu oni ne vendas du paserojn por asaro? Tamen unu el ili ne falos teren sen via Patro(ザメンホフによるヘブライ語からの訳)
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by nishinayuu | 2015-06-24 09:31 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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