『Troilus and Cressida』(Shakespeare, Greenwich House)


c0077412_1424678.pngトロイラスはトロイの英雄ヘクターの弟。物語の主題の一つはトロイラスとクレシダの恋物語であるが、真剣にクレシダを愛していたトロイラスはクレシダに手ひどく裏切られる。クレシダという女性は心理にも行動にも一貫性がなく、そもそも恋愛の対象とすべきではない娼婦的な女性だったわけで、ヒロインとしての魅力がない。主人公のトロイラスも、戦場での活躍という点では目立たない存在であるため、こちらもあまり魅力的とはいえない。また、この戯曲のもう一つの主題はアキリーズがヘクターを斃すまでの物語であるが、トロイ戦争の結末までは語られていないので、尻切れトンボの感は否めない。つまり、今はやりの言葉でいえば「残念な」作品である。ただし、近年、ここに盛り込まれた内容が「現代的なテーマと通じるものがある」として注目されつつあるという。
主要な登場人物は以下の通り。
トロイ側――プライアム(トロイの王)、ヘクター(プライアムの息子)、トロイラス(プライアムの息子)、パリス(プライアムの息子)、イーニーアス(将軍)、カルカス(神官、クレシダの父、ギリシアに与している)、パンダラス(クレシダの叔父)、アンドロマキ(ヘクターの妻)、クレシダ(カルカスの娘)
ギリシア側――アガメムノン(ギリシアの総指揮官)、メネレーアス(アガメムノンの弟)、アキリーズ(将軍)、ユリシーズ(将軍)、ネスター(将軍)、エージャックス(将軍)、パトロクラス(将軍、アキリーズの親友)、ヘレン(メネレーアスの妻)

ところで、エージャックスのことを訊かれたクレシダの従者が、They say he is a very man per se と答えるくだりがある。Small Latin , less Greek のはずのシェイクスピアさん、わざわざこんなところで従者にラテン語を使わせなくても、と思った。ところが現代の小説を読んでいたら、ごく普通の人物がこのことばを口癖にしている場面にでくわした。どうやらこのことばは英米人にはごく当たり前のことばらしい。畏れいりました。(2014.11.21読了)
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by nishinayuu | 2015-02-27 14:03 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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