『猫は手がかりを読む』(リリアン・ブラウン著、羽田詩津子訳、早川文庫)


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『The Cat Who Could Read Backwards』(Lilian Braun, 1966)
本書は新聞記者とシャム猫というユニークな探偵コンビが活躍するシリーズの第1作で、初版は1966年。話はコンビの一方であるクィラランが新聞社「デイリー・フラクション」に就職する場面で始まる。彼が新聞社に送った履歴書によると
「スポーツ記者をふりだしに、警察担当記者、従軍記者、新聞社連盟優秀賞獲得、都市犯罪の著書を発表。やがて、小規模な新聞社から新聞社へと転々としながら、短期間の仕事をこなすようになり、そのあとに長い無職――あるいは書くに値しない仕事――の時期が続く」
そんな経歴の持ち主であるクィラランが、なんと美術記者の仕事を与えられる。「デイリー・フラクション」社にはコラムを担当する美術評論家がいるが、それとは別に芸術家の素顔を紹介する記事を書いてもらいたい、ということだった。仕事始めは青年画家・ハラペイの取材だったが、その仕事をきっかけにしてクィラランは、コラム担当の美術評論家・マウントクレメンズと近づきになって彼の屋敷で暮らすことになる。そこで出会ったのがマウントクレメンズの飼い猫であるシャム猫のココだった。人間にはない予知能力の持ち主で、語の綴りを右から左へとたどって読むことができるココのおかげで、クィラランは二つの殺人事件を鮮やかに解決する。
主な登場人物は以下の通り。
ジム・クィララン(新聞記者)、アーチ・ライカ(新聞社の上司)、オッド・ブンスン(カメラマン)、マウントクレメンズ(美術評論家)、ココことカウ・コウ=クン(美術評論家の飼い猫)、キャル・ハラペイ(青年画家)、サンディ(キャルの美人妻)、ゾーイ・ランブレス(女流画家)、アール(ゾーイの夫。画廊経営者)、ブッチー・ボルトン(女流金工家)、ナインオウ(造形芸術家)、スクラノ(謎の抽象画家)、ノエル・ファーハー(美術館館長)、ブルーノ(記者クラブのバーテンダー)
(2014.10.29読了)

☆クィラランの名前はそのつづりが「20年にわたり植字工や校正者の頭痛の種になっている」と冒頭にあります。すぐあとでアーチが「相変わらずきみの名前には、例の馬鹿らしいwがくっついているのか?」とクィラランをからかい、本人が「由緒あるスコットランドのつづりなんだぞ」と言い返しています。どんな綴りなのか気になったので調べてみたところ、Qwilleranという綴りにゆきあたりました。手許に原書がないので残念ながら確認はできませんが。
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by nishinayuu | 2015-01-22 13:45 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2015-01-23 16:29 x
動物はよく予知能力があると言いますが、どういうふうな探偵振りかおもしろそうですね。
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