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『チーターの草原』(ヴィクター・カニング著、中村妙子訳、新潮社)


c0077412_18232139.png『The Runaways』(Victor Canning, 1972)
本書はイギリスの推理小説作家ヴィクター・カニングによる三部作『スマイラー少年の旅』のⅠで、舞台はイングランド南西部、主人公は一人と一匹のrunaways(逃亡者たち)である。
「一人」はサムエル・マイルズ(通称スマイラー)という15歳と5ヶ月の少年。船乗りの父親が航海に出ている間、ブリストルに住む姉夫婦に預けられていたスマイラーは、たちの悪い少年から罪をなすりつけられて教護学校に入れられてしまった。気詰まりな生活に耐えられずにそこを逃げ出したスマイラーは、身を潜めていた納屋の持ち主に通報されて乗せられたパトカーからも逃げ出して、2月の嵐の中を裸足で一目散に走っていた。パトカーの目の前で起こった落雷事故のおかげで手にした自由をかみしめながら、そして二度と捕まるまい、と心を決めて。
「一匹」はヤラという名の雌のチーター。スマイラーのいる森から10マイルほどの私有公園にある動物園で飼われていたヤラは、豪雨と雷鳴と稲妻の中でわけのわからない焦燥に駆り立てられて金網沿いを行きつ戻りつしていたが、落雷で金網の一部が押しつぶされた瞬間に囲い地を飛び出した。
こうして2月の嵐の中で自由を手にしたスマイラーとヤラは、互いに相手の存在を意識しつつ、それぞれの逃亡生活を続けることになる。(2014.10.10読了)
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by nishinayuu | 2014-12-29 18:24 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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