『ぼくが妻を亡くしてから』(ジョナサン・トロッパー著、上条ひろみ訳、ソフトバンク・クリエイティブ)


c0077412_10353414.jpg『How to Talk to a Widower』(Jonathan Tropper, 2007)
原題は「やもめに話しかけるには」。愛する妻の乗った飛行機が墜落し、突然やもめになってしまった男が、引きこもりと酒浸りの日々から脱け出していく過程を描いた物語である。語り手は当のやもめである29歳のダグ。
亡くなった妻ヘイリーはダグより11歳年上で、ものすごい美人だった。妻を失った悲しみを紛らすためにある雑誌に書いた「やもめに話しかけるには」という連載コラムが好評で、編集者から単行本にしてはどうかと勧められるが断る。ヘイリーが死んだおかげで作家として売れるようになったかのようで、耐えられないのだ。親友のマイクと妹デビーの結婚も祝う気になれない。ふたりが親密になったのがこともあろうにヘイリーの葬儀の最中だったからだ。ダグはふたりがヘイリーの死を踏み台にして幸せになろうとしている、という思いから抜け出せないのだ。そんなダグを気遣う友人、知人の働きかけもことごとく蹴散らして、ダグはひたすら悲しみの殻に閉じこもる。それなのに、色っぽい人妻の「親切な」働きかけにはつい応えてしまい、ヘイリーを裏切っているという思いにさいなまれたりもする。そんなダグを悲しみの殻から引っ張り出したのは、ダグとは双子の妹クレアと、ヘイリーの連れ子で16歳のラスだった。

語り手のダグは悲しみの殻に閉じこもっているにしてはものすごく饒舌で、しかもけっこうあちこち動き回るので、騒動に巻き込まれたり自分から騒動を引き起こしたりする。若気の至りをいっぱい見せてくれる「人生はこれから」の若者なのだ。本のカバーに描かれた、うちしおれた猫背気味の男の姿にだまされてはいけない。(2014.8.5読了)

☆重箱の隅ですが――p.269の後ろから3行目のクレアはデビーの間違いですよね。
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by nishinayuu | 2014-11-11 10:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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