『二度生きたランベルト』(ジャンニ・ロダーリ著、白﨑容子訳、平凡社)

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『C’era due volte il Barone Lamberto――ovvero I misteri dell’isola San Giulio』(Gianni Rodari, 1994)
原題は「昔むかしランベルト男爵は一度生きてまた生きた――サン・ジュリオ島の不思議」

著者によると、古代エジプトの宗教について書かれた書物にあった「名前を呼んでもらっていれば命は不滅」(死者は、その名前と思い出が親しかった人たちに語り継がれている限り、生き続けている)という一文を、文字どおりの意味に解釈した結果生まれたのがこの物語だという。
主人公のランベルト男爵は第1章の時点で93歳の老人。北イタリアの山中にあるオルタ湖のサン・ジュリオ島の屋敷で、忠実な召使いアンセルモにかしずかれて暮らしている。世界の各地に24の銀行、24の別荘を所有するランベルト男爵は、24種類の病気持ちでもある。毎年冬はエジプトの別荘で老化した骨に日光浴をさせるランベルト男爵は、その年もエジプトに行ったのだが、ほんの数日滞在しただけで戻ってきた。ナイル川沿いの散歩の途中でアラブの隠者と出会い、二言三言ことばを交わしたのがその原因らしい。屋敷の戻るとすぐ、ランベルト男爵は6人の男女を雇った。その日から6人は屋根裏部屋に住み込み、交代で昼となく夜となく男爵の名を呼び続け手いる。「ランベルト、ランベルト、ランベルト……」
ある朝、目を覚ましたランベルト男爵は、すべすべのはげ頭の真ん中に髪の毛が一本ゆらゆら揺れているのを発見する。頭に髪の毛が見えるのは45年ぶりのことだった。アンセルモがルーペで調べてみると、2本目の髪の毛が生えかけていて、なんと顔のしわも伸びていきつつあり、肌がみるみるうちにすべすべになっていく。翌朝になると頭の至る所に髪の毛の房ができ、以前は垂れ下がったまぶたに隠れていた両の目が若い活力に満たされて光を受けとめている。アンセルモと一緒に体のあちこちを点検してみると、男爵は明らかに若返っていた。
「名前を呼べば……」の効果が覿面に現れてどんどん若返っていく男爵を中心に、屋根裏の6人、押し入ってきた24人組の男たち、24人の銀行頭取とその24人の秘書たちが絡まって奇想天外な物語が進行していく。筋立ては荒唐無稽であるが、舞台は実在の土地であり、登場人物の言動などにはリアリティがある。押し入ってきた犯人たちが要求したのは総額240億リラの現金で、期限は48時間、などを含めて、ほとんどの数字が6の倍数に統一されている、遊び心いっぱいの楽しい物語である。(2014.76.29読了)
☆頭取たちはダークグレーのスーツ、やや若い秘書たちは紺のスーツ、というのはなにかの参考になるでしょうか。
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by nishinayuu | 2014-10-14 11:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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