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『第五の山』(パウロ・コエーリョ著、山川紘矢・山川亜希子訳、角川文庫)


c0077412_11302073.jpg『O Monte Cinco(The Fifth Mountain)』(Paulo Coelho)
「紀元前870年の初め、イスラエル人がレバノンと呼んでいた国、フェニキアでは、3世紀近く、平和な時代が続いていた。」という文で物語は始まる。続いて次のような文もある。「紀元前870年の初め、遙か遠くのニネヴェと呼ばれる地で、軍事会議が開かれていた。アッシリアの将軍のグループが、地中海沿岸諸国を占領するために、軍隊を派遣することを決定したのだった。そして、最初に侵略する国として、フェニキアが選ばれた。」 
この時期に、イスラエル人の予言者であるエリアは故国を離れてレバノンの小都市ザレパテに逃げ込む。イスラエルの王と結婚したフェニキアの王女イゼベルが、イスラエルの人々にバアル神への信仰を強要し、それを拒むエリアを殺そうとしていたからだ。この作品はエリアがザレパテで亡命生活を送っていた三年間の出来事を綴ったもので、聖書にはほんの数行しか言及されていない謎の預言者エリアの人物像を具体的に浮かび上がらせると同時に、当時のイスラエル、フェニキアの政治経済状況と宗教の様相を生き生きと描き出している。なお「第五の山」とは、バアルの神々が住むという、フェニキアの人々が敬い畏れる霊山である。
作者は「聖書とか、キリスト教にとらわれず、再建の物語として読んでいただきたい」と言っている。そのように読むべきであろうし、素直にそのように読める作品である。(2014.6.22読了)
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by nishinayuu | 2014-09-28 11:30 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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