『四人の兵士』(ユベール・マンガレリ著、田久保麻理訳、白水社)


c0077412_10404231.jpg『Quatre Soldats』(Hubert Mingarelli, Éditions du Seuil, 2003)
時は1919年。ルーマニア戦線から総退却を始めたロシア赤軍の中に4人の兵士がいた。語り手のベニヤ、その親友のパヴェル、大男のキャビン、すごく若い銃の達人のシフラである。両親を亡くして天涯孤独のベニヤは、敗走中に声をかけてくれたパヴェルとすぐに気があって一緒に行動するようになる。そこへ同じ中隊にいたウズベク人で体はたくましいがちょっとオツムの弱そうなキャビンが加わり、さらに、森で春を待つことになったときに一緒に小屋を作る仲間として三人で選んだのがシフラだった。こうして冬を越すための小屋を四人で仕上げ、そろって中に入ったときベニヤは、これでもう独りぼっちじゃない、と思ったのだった。
この作品は、春の訪れと共に過酷な戦闘の場に投げ込まれる運命にある四人の兵士たちが、敵のまっただ中の野営地で冬をやり過ごしながらつかの間の生を楽しみ、友情を育んでいく様子を静かな語り口で綴ったものである。
物語にはもう一人、四人と行動を共にしながら彼らの行動や彼らのことばをノートに綴っていく志願兵の少年、エヴドキンが登場する。文字を知らない四人に代わって、彼らの期待を一身に集めて「彼らの物語」を記録するこのエヴドキン少年については、あらためてまた別の物語が書かれる必要がありそうだ。(2014.5.0読了)
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by nishinayuu | 2014-09-12 10:41 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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