『ハーヴェスト・ムーン』(K.C.マキノン著、小沢瑞穂訳、新潮社)


c0077412_18361174.jpg『Dancing at the Harvest Moon』(K.C.McKinnon、1997)
これは46歳の女性に訪れた一大ロマンスを描いた、甘い甘い小説である。ハーレークイン小説のお姉さん格の小説、というところか。(ただし、ハーレークイン小説を実際に読んだことがないので、間違っているかもしれません。)主人公の悩みや葛藤からは深刻さも悲惨さも感じられないので、実に気楽に読める。しかも、いろいろな詩人の名や詩そのものが随所にあしらわれているので「文学の薫り」も味わえる。風景描写と挿絵も美しい。というわけで一言で言えば、甘くて美しいエンターテインメント小説である。したがって、皮肉っぽい気分の時には読まない方がいいだろう。
いくつかの引用詩の原詩が気になったので調べてみた。全部書くと長すぎるので、重要な詩三つの一部だけ書いておく。
〇冒頭に掲げられたイェーツの「それは輝く乙女となった」の部分
It had become a glimmering girl
With apple blossom in her hair
Who called me by my name and ran
And faded through the brightening air.
〇ヒロインが初恋の人に暗唱して聞かせたエリオットの「さあ出かけよう、きみとぼくと」の部分
Let us go then, you and I,
When the evening is spread out against the sky
Like a patient etherized upon a table;
Let us go, through certain half-deserted streets,
〇初恋の人の墓石に刻まれていたR・スティーヴンソンの「墓を掘って私を死なせてください」の部分
Under the wide and starry sky
Dig the grave and let me lie.
Glad did I live and gladly die,
And I laid me down with a will.

This be the verse you grave for me;
Here he lies where he longed to be,
Home is the sailor, home from sea,
And the hunter home from the hill.

なおタイトルはヒロインが若き日にアルバイトをしていて初恋の人に出会った店の名前で、ニール・ヤングに同名の歌がある。(2014.5.17読了)
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by nishinayuu | 2014-08-27 18:37 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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