『立原正秋追悼』(白川正芳編、創林社)


c0077412_18133371.jpgこれは立原正秋逝去(1980年8月)の翌年4月に発行された「立原正秋追悼特集号」(同人誌『修羅』第13号)を、1985年にあらためて単行本として出版したものである。「追悼特集号」の編集の中心となったのは同人誌『朱羅の会』代表の白川正芳。執筆陣として吉行淳之介、中野孝次、高井有一、加賀乙彦、後藤明生、佐江衆一等、同人誌『犀』時代からの仲間や、先輩、後輩の作家たち、編集者たちが名を連ねている。
巻頭に掲げられた数葉の写真からは立原の端正で毅然とした雰囲気が伝わり、追悼文のそこここからは立原の作家として、人間としての魅力が強烈に伝わってくる。一方、好悪の情を隠すことをしなかったため、周囲を辟易させることも多かったらしいことが、中野孝次、後藤明生、佐江衆一、神津拓夫などの文を読むとわかる。これらを読むと、周囲とうまくやっていくことができなかった作家、というよりうまくやっていくことを拒否していた作家のようにも思われる。それはともかく、立原正秋とある時期をともに過ごした人たちの証言集であり、立原ファン必携の一冊と言えよう。(私は特にファンではないので、この本は知り合いのファンの方に譲る予定です。)(2014.2.17読了)
☆画像は韓国慶北安東市郊外にある鳳停寺の僧堂。立原正秋が生まれたとき父・李慶文がこの寺の僧だったため、立原は5歳から6歳にかけてこの僧堂に泊まって千字文を手習いし、四書五経の素読を学んだという。
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by nishinayuu | 2014-05-19 18:14 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2014-05-19 19:30 x
立原正秋は何十年も前に2冊ぐらい読んだだけですが、センセーショナルでいい人と悪い人の区分をはっきりつける作家だと思いました。私の読み間違いでなければ。それであまり興味は沸きませんでした。安東の鳳停寺に行ったことがありますが、そんな謂れがあるとはびっくりしました。その寺の畑で僧侶が野良仕事をしていた様子が目に浮かびます。
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