『殺人者の健康法』(アメリー・ノートン著、柴田都志子訳、文藝春秋)

c0077412_15104080.jpg『Hygiène de l’assassin』(Amélie Nothomb, 1992)
チューブな形而上学』の作者による第1作。丁々発止の会話で進行し、才気と辛辣さにあふれるこの作品の作者が、執筆当時25歳だったとは!パリで出版されると同時にセンセーショナルな話題を呼んでベストセラーになり、複数の賞を獲得したというのもうなずける。


時は湾岸戦争の勃発前夜の1991年1月。ノーベル文学賞作家として世界的に有名な83歳のプレテクスタ・タシュは難病のエルゼンヴェイヴェルプラーツ症候群を患っている。一般的には「軟骨癌」と呼ばれ、19世紀に「強姦殺人罪」で投獄されていた十数人の囚人に発見されただけでその後の発症例がない、という珍しい病気である。タシュの死期が2ヶ月後に迫っていることが世間に知れ渡ると、単独インタビューの申し込みが世界中のジャーナリストから殺到する。こうしてタシュ氏は亡くなる2ヶ月前に、自分の文名の高さを見定めることができたのである。
さて、タシュの秘書によって厳選された記者たちが毎朝一人ずつ訪れるが、誰も彼もがタシュにめった切りにされて逃げ帰ることになる。記者たちもそれぞれそうとうなツワモノなのだが、タシュのほうがずっとウワテだったのだ。ところがある朝、若手の女性記者ニーナが現れると事態は一変する。タシュの全22作を細部まで読みこんで分析してきた彼女が、ぐんぐんタシュを追い詰めていくのだ。物語は次第にミステリーのような展開を見せて、タシュの異常な肥満や難病発症の因って来たるところに迫っていく。(2013.12.17読了)

☆ふーん、そうなんだ-その1――「豚に真珠」はラテン語で「マルガリタス・アンテ・ポルコス」という。
ふーん、そうなんだ-その2――タシュの生まれたのは2月24日、聖プレテクスタの祭日だった。
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by nishinayuu | 2014-03-16 10:27 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2014-03-16 23:23 x
設定からして才気を感じますね。
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