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『孤独な天使たち』(ニッコロ・アンマニーティ著、中山エツコ訳、河出書房新社)


c0077412_1528795.jpg『Io e Te』(Niccolò Ammaniti, 2010)
タイトルの意味は「ぼくときみ」。2000年の時点で14歳だったロレンツォが「ぼく」であり、23歳だった異母姉のオリヴィアが「きみ」である。
ローマの閑静な住宅街に住むロレンツォは、友人との交流の仕方がわからないため、学校ではいつも居心地の悪い思いをしていた。いじめや仲間はずれを避けるために「擬態」を使って仲間に紛れることを覚え、中学まではそれで何とかうまくいった。ところが進学校の高校に入ると「擬態」テクニックはうまく機能しなかった。攻撃的で活発な群れの中では、おとなしくて口をきかないロレンツォはからかいやいじめの対象になった。そんなある日、テレビでハチの模倣をして生きるハエを見たロレンツォは、これだ、と思う。いちばん危険なやつを模倣すれば生き残れるのだ。こうしてロレンツォは大勢の中におとなしく紛れることはやめて、いちばん目立つ強いグループのまねをすることで何とか切り抜けてきた。ところがある日、本気でそのグループに入りたいという思いに駆られたことから、とんでもない状態に自分を追い込んでしまう。一番目だっているグループからスキー旅行に誘われたと、つい母親に嘘をついてしまったのだ。母親が涙を流して喜ぶ姿を見て、嘘をつき通すしかなくなったロレンツォは、数日分の籠城の支度を調えて、地下の物置に身を隠す。と、その隠れ家に、突然異母姉のオリヴィアが現れる。小さいときに別れたきりだったオリヴィアは、麻薬中毒にかかって苦しんでいた。こうしてロレンツォは必死で身を隠しつつオリヴィアと戦い、一緒に苦しむというとんでもない数日を過ごすことになる。
これは「ぼくときみ」の成長物語ではあるが、「きみとぼく」ではないところがミソである。「ぼく」は確かに成長したようだが、果たして「きみ」はどうだったのだろうか。(2013.12.10読了)
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by nishinayuu | 2014-03-13 15:29 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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