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『肩甲骨は翼のなごり』(デイヴィッド・アーモンド著、山田順子訳、東京創元社)


c0077412_9313139.jpg『Skellig』(David Almond, 1998)
語り手のマイケルは、両親とともに中古のぼろ屋に転居してきた。生まれてくる赤ちゃんのために広い家が必要だったのだ。両親は家の改装にとりかかり、赤ちゃんも生まれた。けれども赤ちゃんは心臓の具合が悪く、かあさんは赤ちゃんのことで手一杯だった。父さんは父さんで、前の持ち主が残したがらくたの片付けや、ペンキ塗りで忙しかった。
そんななかでマイケルは、危ないから入ってはいけないと言われていたガレージの中に、得体の知れないものがいるのを発見する。ほこりまみれで、蜘蛛の巣だらけだし、顔はやせおとろえ、蒼白い。髪や肩にはアオバエの死骸が散らばっている、黒いスーツ姿の男だった。その日からマイケルはかあさんやとうさんに隠れて男の世話をし始める。男の要求に従って近くの中華料理店のメニューにある27番と53番の料理を運んでやったり、リウマチで体が痛いという男のためにアスピリンを差し入れたり。ところで隣家にはミナという不思議な女の子がいたが、彼女は、学校教育は百害あって一利なし、という母親の信念から学校には通わずに、家で独特の教育を受けていた。ウィリアム・ブレイクの詩を暗唱したり、鳥の生態を観察したり、星の運行を学んだりしているミナのおかげで、マイケルは学校では学べないことを学んでいく。マイケルはそんなミナにもガレージの男を引き合わせる。男も次第に二人に心を開いていき、体力も付けていく。男はスケリグという名前で、肩甲骨のところに羽根があった。
一時は命が危ぶまれたマイケルの妹の赤ちゃんは手術を経て奇跡的に回復した。手術が終わった晩、かあさんは不思議な夢を見たという。背の高い汚い男が赤ちゃんを抱き上げてまるでダンスをしているように踊っている夢で、男の背中にも、赤ちゃんの背中にも翼があったという。

1998年にカーネギー賞(英国で出版された児童書が対称)とウィットブレット賞(英国籍作家が対象)の児童文学部門賞をダブル受賞したファンタジー。この年やはり候補になっていた『ハリー・ポッターと賢者の石』を抑えての受賞だったという。(nishinaはハリー・ポッターのほうがずっといいと思いますが。)(2013.11.5読了)
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by nishinayuu | 2014-02-04 09:31 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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