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『나의 문화유산답사기 7』(유홍준, 창비)

c0077412_10214551.jpg『私の文化遺産踏査記 7』(兪弘濬著、創作と批評社)
本書は「人間と芸術と歴史が一つになった紀行文学の白眉」と謳うシリーズの第7巻目で、踏査地は済州島。シリーズ最高の460ページという大部の巻である。
主要テーマの一つは火山島である済州島の、本土(韓国語では陸地という語が使われている)とは大きく異なる自然の驚異と美しさである。この美しい島で暮らす人々が受け継いできた独特の習俗、この島ならではの暮らしも詳しく紹介されていて興味深い。世界文化遺産登録を目指している海女の文化や、蒙古馬系の小型馬を飼育する馬牧場などが取り上げられている。
もう一つの大きなテーマは絶海の孤島である済州島の歴史である。古くは失脚した官僚たちが配流されてきた地であり、長崎に向かっていた東インド会社の船が台風に遭って漂着した地でもあった。そして近年は日本軍の前線基地として利用され、また朝鮮戦争の際は北のシンパや内通者という名目で、無差別大量殺戮が行われた4・3事件の現場となった。この4・3事件について著者は次のように述べている。

この悲劇的事実を知らずには済州島と済州の人々を理解することはできない。壬辰倭乱、3・1運動は当時の人々がみんな亡くなっているので歴史的距離を置いて語ることができるが、4・3事件は目撃者、犠牲者の家族、それによってもたらされた憤懣やるかたない苦痛などが依然としてそのまま残っており、過ぎ去った歴史の話にはなり得ない。

長い間軍事政権が隠蔽し、被害者たちも弾圧や殺害を怖れて口を閉ざしてきたこの事件が広く知られるきっかけを作ったのは、玄基栄の小説『順伊おばさん』(軍事政権下の1979年に出版)である。日本語版は金石範の訳で新幹社から出ている。関連図書として金石範の『火山島』もあげておく。(2013.10.18読了)
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by nishinayuu | 2014-01-03 10:22 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2014-01-04 12:59 x
4.3事件は民衆が虐殺され、痛ましいのはもちろんですが、金日成の武装蜂起路線に呼応した勢力が、韓国軍の掃討作戦に敗れたと言う点も見る必要があるのではないでしょうか。真実は明らかにならないかもしれないけれど、済州島にゲリラを支える人民の海はあったのでしょうか。無謀な武装蜂起と反乱する民衆の幻影に怯えた韓国軍の虐殺だったのではないでしょうか。
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