『ほんとうに大切なこと』(ヤン・ゴールドスタイン著、松本美菜子訳、ソニー・マガジンズ)

c0077412_113914100.jpg『All That Matters』(Jan Goldstein)
読書会「かんあおい」2013年11月の課題図書。
23歳のジェニファーはカリフォルニアのヴェニスビーチで気を失って倒れているところを発見された。彼女がそこに行ったのは自殺するためだった。輝く夕日に別れを告げ、精神安定剤のザナックスを飲んだのだ。病院で目が覚めると、祖母のギャビーが彼女を見守っていた。5年前に亡くなった母リリの母親で、父の知らせを受けてニューヨークから駆けつけたのだ。
ギャビーは76歳。夫イツィクは21年前に他界して一人暮らしをしており、長年の喫煙のせいで肺をやられている。憤怒のかたまりになり、点滴のために眉間にしわを寄せているジェニファーを見ながら、ギャビーは娘リリの思い出にかけて誓う。ジェニファーに、暗闇から抜け出して光の中に帰る道を必ず見つけさせてみせる、と。
再婚して新しい妻と子供がいるジェニファーの父は、医者のいう鬱病患者のジェニファーを家に引き取るわけにはいかない、金はいくらかかってもいいから専門病院に預けたいと考える。それを知ったギャビーはジェニファーを自分の家に連れて行くことにする。屋根裏部屋に隠れ、死の列車から飛び降り、ポーランドの灼熱地獄から逃げ出したのは、そんな病院に閉じ込められている孫を見るためじゃない、と思ったからだ。こうしてギャビーとジェニファーの、6週間という期限付きの生活が始まる。

ギャビーはもう一人のサラ(『サラの鍵』のサラ)だった。ギャビーを屋根裏にかくまってくれていたポーランド人のプラスキさんが「どんなつらいときでも目と心をちゃんと開けば贈り物が用意されている」と言ったその晩、ギャビーは、もう二度と会えない妹のアンナと氷滑りを楽しんでいる夢を見た。それ以来ギャビーは、その日の贈り物を見つけることを楽しみに一日一日を過ごしたという。この「その日の贈り物に感謝しながら生きる」という心をギャビーからしっかり受け取って、ジェニファーは前を向いて歩き出す。(23歳にしては幼い感じのする)ジェニファーの人生への旅立ちの物語であり、家族の再生の物語である。(2013.10.3読了)
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by nishinayuu | 2013-12-27 11:39 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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