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『カモ少年と謎のペンフレンド』(ダニエル・ペナック著、中井珠子訳、白水社)


c0077412_150323.jpg『Kamo L’agence Babel』(Daniel PENNAC,1992)
これは内容から見ても装丁・挿絵などから見ても小学校高学年から中学生向けの本である。特に、外国語を学ぶ楽しさ、本を読む楽しさをまだ知らない子どもたちに、ぜひ読んでもらいたい作品である。もちろん大人も、ちょっとした読書案内として、あるいは「謎解き」として充分楽しめる。
パリの中学生の「ぼく」が親友のカモの身に起こったできごとを語っていく。はじめは、通信簿を見たカモのかあさんが怒りを爆発させる場面。カモの英語が20点満点の3点だったと知ったカモのかあさんが「これでいいと思ってるの?」と通信簿をテーブルクロスの上に投げつけ、カモが「でも歴史は18点だったよ!」と反論する。するとかあさんが「歴史が20点満点の25点だったとしても、英語の3点はゆるせないわ!」と叫ぶ。(けっこうめちゃくちゃなかあさんなのです。)カモも負けじと言い返す。「アンチビオ・プールをなぜ首になったか、かあさん考えたことある?」と。かあさんは有名な製薬会社であるアンチビオ・プールの製品のほとんどはインチキだと客に説明して入社10日で首になっているのだ。それでかあさんは、今すぐ新しい仕事を見つけて続けてみせる、と大見得を切るはめになり、そのかわり3ヶ月仕事が続いたら、今度はカモが3ヶ月で英語をマスターすること、とまたまた無茶なことを言いだす。しかも今回は首にもならずに3ヶ月働き続けたのだ。
こうして頑張らねばならない番になったカモは、かあさんの勧めに従って外国人と文通することになる。かあさんがあげた15人の候補から、カモがいいかげんに選んだ相手はイギリス人のキャサリン・アーンショー(そう、あのキャサリン!)だった。カモはフランス語で書き、相手は英語で書く、という形で始まった文通は、すぐに英語だけのやりとりになって、英語の得意な「ぼく」の翻訳もいらなくなる。カモはそれだけキャサリンとの文通にのめり込み、英語の勉強にものめり込んでいたのだ。しかしぼくはカモが受け取る時代がかった封書や書体、書かれた内容を見て、何かおかしいと感じ始める。さらにぼくは、カモの他にも外国人と文通していて、カモと同じように「とりつかれた」ようになっている友だちが大勢いることに気づく。手紙の宛先は「多言語ペンフレンド紹介所バベル社、私書箱723、75013、パリ」。ぼくは13区のいちばん大きな郵便局にかくれて、私書箱723を見張る。(2013.7.6読了)
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by nishinayuu | 2013-09-12 15:00 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
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Commented by マリーゴールド at 2013-09-14 11:55 x
わくわくしますね。
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