『닭을 잡는 칼』(문학사상 2009年4月号)

c0077412_18102714.jpg『割雞刀』(菊池三渓著)
これは1883年に発表された漢文小説を韓国語に翻訳したもので、舞台は朝鮮半島、テーマは「明成皇后毒殺」である。日本でも知る人ぞ知る(つまりほとんど知られていない)この作品は、ソウル大学の権寧珉(クォン・ヨンミン)教授が学術誌『文学思想』の2009年4月号で紹介したことにより、韓国ではかなり話題になったらしい。というのも、実際に明成皇后殺害事件の起こった1895年10月(陰暦)よりも12年前に、まるで後の事件を暗示するような作品が書かれていたことがわかったからである。
19世紀末、朝鮮半島では明成皇后と興宣大院君の対立が深まり、日本はそれを利用して朝鮮半島で力を得ようとしていた。この作品の書かれた当時の日本は興宣大院君とは対立関係にあり、明成皇后と友好的な関係にあったため、作者は興宣大院君を悪者にして明成皇后毒殺の首謀者に仕立て上げている。隣国の主要人物たちを勝手に殺したり殺害犯人にしたり、という非礼な内容にはあきれるしかないが、こういう小説を生んだ当時の日本という国の傲岸不遜さと不穏な動きを省みる手がかりとして、一読の価値はある。
内容は全くのフィクションであるが、登場する日本人・朝鮮人の名前や役職、朝鮮の地名などは実在のものが使われており、事件の顛末も詳細に記述されているので、史実と混乱しないよう、よくよく注意しなければならない。それでも、歴史上の人物の名、ソウル周辺の地名、宮闕の名称やその役割、韓国語の古めかしい表現などに数多く接することができるので、韓国語の学習者や韓国文化に興味のある人には役に立つ情報満載の読み物である。(2012.3.29読了)
☆画像は興宣大院君についての児童書から採りました。
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by nishinayuu | 2013-06-26 18:15 | 読書ノート | Trackback | Comments(0)
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