『The quince Tree』(Saki, Doubleday)


c0077412_2042058.jpg『マルメロの木』(サキ)
あるブログにこの作品が取り上げられていたので読んでみた。昔、高校の教科書に出ていた『The Open Window』が気に入ってサキの全集を買ったけれども、いくつか読んだだけでこの作品は未読だった。
さて、読んでみると、才気煥発でいたずら好きな少女がおばさんをからかう、という点では『The Open Window』と共通するが、サキ独特の毒気はあまり感じられず、むしろほのぼのとした雰囲気の作品である。長さもごく短いので、サキが初めての人にも楽しめそうだ。
実はこの作品を読んでみようと思ったのには、もう一つ理由がある。数ヶ月前に、わけもなくマルメロの実というものが気になりだし、形や色を映像で確認したりして、それがカリンとよく似ているけれどもカリンとは別種のものだ、というところまでは理解していた。カリンと同じくそのままでは食べられない、というマルメロを、昨年の末にあるレストランで口にする機会があって、ついにマルメロの味もわかった。長い間未知のものだったマルメロが、短期間に親しい果物となったのだ。植物としてのマルメロと近しくなったと思ったらタイミングよく、文学作品に取り上げられたマルメロにであったわけである。
マルメロというのはポルトガル語のmarmeloからきている。マルメロの名はずいぶん前から耳にしていたのにこの作品に気がつかなかったのは、マルメロを英語ではquinceということを知らなかったからだ(調べればわかるのにね)。マルメロということばにはフランスの香りがある、と長年漠然と思っていたが、マルメロのフランス語はcoingだった。遅まきながらマルメロについていろいろ知ることができたのが、この作品とであったことのいちばんの収穫かもしれない。(2013.1.17読了)
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by nishinayuu | 2013-03-22 20:42 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
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Commented by マリーゴールド at 2013-03-22 21:24 x
味はいかがでしたか。
Commented by nishinayuu at 2013-03-25 16:04
マルメロは野鳥と鹿肉のパテに添えられて出てきました。甘くとろりと煮てあって「ふつうに」美味しかったですよ。
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