『ルイーゼの星』(カーレン・スーザン・フェッセル著、オルセン昌子訳、救龍堂)


c0077412_11372970.jpg『Ein Stern namens Mama』(Karen-Susan Fessel)
闘病ものは原則として読まないことにしているのだが、本が手に入ったためつい読んでしまった。やはり人が死に向かっていく話は読んでいてつらいし、ましてそれが幼い二人の子どもを残していく母親であり、語り手が11歳の少女、とくるのでたまらない。けれどもこの母親が実に人間的に素晴らしい人物に描かれていて、その生き方を最後まで見たいという気持ちにさせられる。結局母親は、残される夫にも子どもたちにも生きる勇気を与えて旅立っていく。
原書はプロイセン海運財団による青少年向け文学作家奨励金を受けて執筆され、児童書として出版されたものだが、大人の読者にも読んでもらいたいので一般文芸書として刊行してもらった、と訳者のあとがきにある。一般文芸書として出したのは正解で、大人にも読んでもらいたい本というより、大人が読むのにふさわしい本である(言い換えれば、自分が語り手と同じ年頃の子どもだったら、つらくて読めないと思う)。小さい子どもをもつ夫婦の片方が死の病に冒されたとき、夫婦としてどう支え合うか、子どもの心と体をどう守っていくかについて、いろいろ考えさせ、示唆を与えてくれる作品である。ママの友人で家族も同然のヤンニというホモの男性、そのヤンニが特別の関係になってしまう看護士のマヌエル、ベッキィ(語り手ルイーゼの友だち)のママなど、家族を支える友人たちの存在も大きく、周囲の人びととよい関係を築いておくことの大切さも教えてくれる。
11歳の少女と5歳の少年のそれぞれの年齢にふさわしい健気で愛らしい姿と、時にはくじけそうになりながらも夫として、親としてしだいに成長していく父親の姿が、温かい筆で丁寧に描きだされているのもいい。(2012.12.22読了)
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by nishinayuu | 2013-02-23 11:38 | 読書ノート | Trackback | Comments(2)
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Commented by マリーゴールド at 2013-02-25 17:05 x
優しい気持ちになりたい時に読むにふさわしい本のようですね。暖かい涙を存分に流して。
Commented by 読書ログ at 2013-03-01 14:56 x
はじめまして。
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