『花に水をやってくれないかい?』(イ・ギュヒ著、保田千世訳、梨の木社)



c0077412_9432573.jpg『모래시계가 된 위안부 할머니』(이규희著、푸른책들)
「教科書に書かれなかった戦争」のpart60で、副題は日本軍「慰安婦」にされたファン・クムジュの物語。元慰安婦として名乗り出た実在の女性・黄錦周さんをモデルに、作者が彼女から聞いたことや自ら調べたことをもとにして書き上げたフィクション。少年少女を読者に想定してこうしたテーマを扱うのはかなり難しいことだろうと思われるが、本書はあからさまな表現は避けながらも本質的なところはきちんと押さえており、読み物としての魅力も十分備えている。ただ、おばあさんと関わり、おばあさんを深く理解するようになる子どもが女の子であるのは自然なことかもしれないが、より多くの10代の読者を獲得するためには、この役割を男の子にさせてもよかったのではないか、という思いが残る。
本書は、ファン・クムジュがたどった道を示す地図、作者のことば、16章からなる本文、「10代の読者のみなさんへ」と題する翻訳者による後書き、「日本軍慰安婦とは」と題する解説、日本軍慰安婦関連年表という構成になっている。
作者のことばは2010年夏の出版の際に書かれたものと、2012年初夏の日本語版出版に際して書かれた「日本の読者へ」と題するものの二つが掲げられており、慰安婦にされた女性たちの悲しみと痛みを忘れてはいけない、彼女たちの悲しみと痛みを日本の若者たちにもわかってもらいたい、という作者の思いがおさえた語調の中からしっかり伝わってくる。本文の1章から6章では、集合住宅に転居してきたウンビという5年生の少女が、隣室に住む得体の知れないおばあさんが何物なのかを知るに至る過程、7章から12章までは、そのおばあさんが語る「花のようだった少女時代」と踏みにじられたその後の人生、そして13章から16章までは、ウンビに心を開いた隣のおばあさんとウンビ一家の心温まる交流が綴られる。しかし、やがて元慰安婦たちは砂時計の砂のように一人、また一人と亡くなっていき、隣のおばあさんも記憶が砂時計の砂のように消えていくのだった。原題は「砂時計になった慰安婦のおばあさん」。(2012.10.13読了)
[PR]
by nishinayuu | 2012-12-10 09:43 | 読書ノート | Trackback | Comments(1)
トラックバックURL : http://nishina.exblog.jp/tb/18982431
トラックバックする(会員専用) [ヘルプ]
Commented by マリーゴールド at 2012-12-11 15:02 x
従軍慰安婦の問題はどこまでが真実なのかわからないから、複雑ですね。売春という非人間的な職業に喜んでつく人はいないでしょう。また戦時中ということで強制だったのか、募集だったのか。また売春ではなく強姦だったのか。だましてつれて行かれたのか。その場合騙したのがだれなのか。日韓条約で解決済みかそうでないのか。韓国政府がアジア女性基金からの支援金を慰安婦たちに受け取り拒否させたのは、解決ではなくこじれることをのぞんでいるのか。あまりに政治的な問題になっていてわけがわからないです。日本側も資料を公表して真実を明らかにすべきです。
<< ㅊで始まる植物の名前 『突然の秋』(ジム・ハリスン著... >>